2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of utilization of joint venture experience toward building an alliance capacity
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18K01817
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
趙 偉 中部大学, 経営情報学部, 教授 (60303583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小沢 浩 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (40303581)
小室 達章 金城学院大学, 国際情報学部, 教授 (00335001)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会-技術システム論 / 組織文化 / 知識移転 / 合弁企業 / アライアンス能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は4ケ年計画で実施され、第2年度に当たる2019年度の研究概要は以下の2点である。 第1に、社会=技術システム論の考え方を用いて、本研究の分析枠組みを構築したことである。具体的には、(1)社会=技術システム論研究における「高い業績を上げるため、作業組織の社会システムと技術システムの最適応化が求められる」という考え方を用いて、国際合弁企業における作業組織という社会システムを分析することの重要性を確認した。また、 (2)国際合弁企業における知識移転のメカニズムの分析である。国際合弁企業では、知識移転において、親会社からもたらされる社会システムへの適合と不適合が生じる。社会-技術システム論の考え方に従えば、社会システム要因が、国際合弁企業に導入された技術システムに適応できていないという問題を見出すことができる。そのため、どのような社会システムが作業組織に定着することで、技術システムに適応するのかというパターンを抽出することを行った。その研究成果を国内学会で報告した。 第2に、昨年度に引き続き、国際合弁企業に関する先行研究の整理・分析を行ったことである。今年度は、(1)知識移転に関する先行研究、(2)NUMMIに関する研究を経時的に整理した。NUMMIに関する先行研究を、①ハイブリッドアプローチ、②技術移転戦略アプローチ、③知識創造アプローチ、④組織文化論アプローチという,4つに類型化し分析を行った。(3)先行研究で示されたのは、(a)単一組織から単一組織への知識移転の場合、本社の経営システムの中で、どのような知識を、どのように移転するのかというメカニズムに焦点を当てていること,(b)国際合弁企業における技術移転の場合、競争力を高めるために、いわゆる技術移転だけではなく、企業文化にも焦点を当てていることであった。これらの先行研究の整理と事例分析を学術論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展していると評価する理由は、以下の3点である。 第1に、社会=技術システム論の考え方を用いて,分析枠組みを構築できたことである。その結果、(1)国際合弁における知識移転のメカニズム(社会システムと技術システムの適合)について分析することができた。その研究成果を国内学会で発表することができた。(2)知識移転に関する先行研究、およびNUMMIという国際合弁に関する先行研究を、経時的に整理して分析することができた。また、社会システム形成プロセス、およびその重要性を指摘し、学術論文として投稿することができた。第2に、NUMMIという国際合弁企業の事例分析を行うことで、合弁経験をという現象を、技術システム(生産方式、品質管理、原価管理など)と社会システム(組織文化、人間関係、労使交渉など)の2つの側面から分析ができたことである。その分析結果を、研究成果として発表できたことである。第3に、NUMMIの事例を考察した結果、トヨタがNUMMI以外の北米進出は、「UAWを避けている理由として、UAWへの対応のような社会システム要素への適応が難しいことをあげることができる」、という考えに至った。今後は,この観点から、事例分析などを実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、以下の3点である。 第1に、NUMMIという国際合弁企業の25年史を整理し、合弁経験から抽出されたアライアンス能力を経営学史としてまとめることである。また、これらの研究成果については、学会報告および学術論文として発表する。第2に、昨年度に引き続き、(1)NUMMI労働協約書の整理・分析,(2)これまで行ってきたNUMMIの経営に携わってきた人達へのインタビュー調査の整理・分析である。その結果として学会報告を行う予定である。第3に、COVID-19の影響で中止された国際学会への参加、報告を行い、国際合弁や知識移転に関する学識経験者との意見交換を行う。NUMMIという国際合弁事例の普遍性を抽出し、知識移転や社会システムの構築などの研究につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、ヒアリング調査の実施場所が、研究分担者の近隣であったため、予定よりも研究分担者の旅費がかからなかったためである。また、COVID-19の影響で予定した国際研究発表や、海外へのヒアリング調査ができなかったのである。次年度は、関連分野の資料の購入や、新たなヒアリング調査への旅費、国際学会や国内学会報告における研究成果の発表のための旅費・参加費に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)