2023 Fiscal Year Research-status Report
これからの「創造的な働き方」を支える組織変革と組織学習の統合的探求
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18K01818
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
安藤 史江 南山大学, 経営学部, 教授 (70319292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 組織変革 / 組織の両利き / 統合モデル / 人材育成 / 包括的組織アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
組織変革と組織学習との創造的な統合のあり方を探る中で、組織学習の中でも近年注目を集めている「両利きの経営」もしくは「組織の両利き」に関する議論が、組織変革の議論と相性がよい可能性が浮かび上がってきた。組織の両利きを提唱した研究者のうちの1人が、提唱時とほぼ同時期に、別の研究者と組織変革のためのモデルを開発していることが認められたためである。もっとも、両者はその後、互いに引用しあうこともないまま別々に発展していたが、最近になって提唱者は両者を統合する必要性について言及されるようになってきた。 そこで、包括的な組織アイデンティティによって両者を統合するモデルを先行研究に基づき、考案する取り組みを行った。その結果は、英語での論文として発表済みだが、発表から約3か月しかたたないにもかかわらず、既に600以上の閲覧が確認されるなど、多くの研究者の人々の関心を集めている。 ただし、このモデルは先行研究に基づく理論的なアイディアにとどまっているため、このモデルが実践的にも有用であることを示す必要がある。この目的のために、組織の両利きを実現すべく組織変革を試みている企業の事例研究を行った。社内資料や複数名に対するヒアリング調査などを実施し、事例の検討を進めている。 また、この研究以外にも、組織の両利きが今後必要になると考えられる、成長著しい企業でのさまざまな取り組みに関する調査も行った。人材育成に関する取り組みを調査するだけでなく、企業内でワークショップを行い、目指すべき方向性や現在の問題点などを従業員、管理職とともに議論した。 このほか、心理学系の研究者と共著を執筆するプロジェクトに参加し、専門分野のみに偏りがちになることを防ぎ、多面的な視点を得られるように努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度にコロナに罹患し大幅に体調を崩し、その後遺症などにも長く苦しんだことから、予定していたよりも細々としか研究が進まなかった。そのため、本来であれば2023年度で終了予定だった目標には到達できなかった。もっとも、少しずつであるが、歩は進めていたため、予定より遅れてしまったが、2024年度には確実に完成可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度までに積み重ねてきた事例研究および理論研究をとりまとめ、複数の学会で学会発表や論文投稿を行う予定である。また、これらの結果を踏まえた質問票調査も予定しているため、それらを2024年度の前半には終了し、後半には、それらすべてを集大成した研究成果をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナに罹患し、比較的重い症状であったため、その間やその後の後遺症により、予定通りに研究活動を進めることができず、研究費の使用範囲や頻度が限られてしまった。しかし、現在はかなり回復したため、これからは予定通り、追加のヒアリング調査や質問票調査、論文の執筆などのために使用し、完成を目指す。
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