2021 Fiscal Year Research-status Report
中小製造企業の自主独立型企業への脱皮のための他社との技術関係性構築に関する研究
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18K01827
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Research Institution | Japan University of Economics |
Principal Investigator |
櫻井 敬三 日本経済大学, 経営学部(渋谷キャンパス), 特任教授 (30592448)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中小製造企業 / 自主独立型企業 / 市場適応 / 市場創造 / 限定的深化 / 限定的進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去3年間で研究対象の中小企業(自主独立型企業群)71社(初年度25社、2年度44社、3年度2社)のインタビュー調査を実施済みであるが、4年度は3年度の積み残し23社にオンラインでのインタビュー調査依頼をするも1社もかなわず、新たな6社(内3社オンライン対応)によりインタビュー調査を行うことができた。 3年度末に実施したアンケート調査を当初3月末までだったものを、さらに延長し実施し、890社に78設問の調査を4月まで実施し、111社から回答をいただき、内92社が有効回答であった。その回答を基に、製造業(金属・一般機械・電気機械・輸送機械・精密機器)に絞り64社回答を基に分析した。その結果の一部を学会に発表した。 本アンケート調査結果から、自主独立型企業群は他の企業群(従属的下請企業群、自立型下請企業群)と比較し顕著な相違が判明した。具体的には企業の創成期には社長が主体的に行動し、幸運だったとの認識を持つ人が一人もいなかった。また顧客へ提供する内容は何かの質問に対し「顧客の利益を優先する提案をすること」を優先し、単に「顧客の効能のみの提案すること」ではなかった。また、技術水準も同様に「顧客の求める技術水準」に照準を合せ、決して「競合他社を超える技術水準」を求めることはしていないのである。さらに今後の事業展開についての社長の考え方を問うと、従属的下請企業群はプロダクトアウト型で、自立型下請企業群はマーケットイン型であるのに対し、自主独立型企業群はプロダクトアウト型もマーケットイン型もすべて存在することはわかった。今後、検証のための詳細なインタビュー調査での確認を要するが、自主的独立企業群は従来の画一的経営戦略論による起業からのステップアップする流れとは異質のようである。すなわち初期からの各社各様の社長のBM論が存在し、そのことが重要となることが想定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度(4年目)に予定していたインタビュー調査企業先への訪問またはオンラインがほとんどできなかったこと、さらにアンケート調査結果に基づく仮説設定内容の確認インタビュー調査もできなかったこと、海外訪問予定企業へのインタビュー調査が一社もできなかったことがあり、当初計画内容はほとんどできなかった。しかし、3年度末に実施したアンケート調査を継続実施し、一応の水準までの回答を回収できた。その結果を基に統計処理した結果をまとめ、学会発表を行ったが、アンケート回答企業への確認インタビュー調査の実施ができていない。継続依頼しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート調査の回答企業への確認インタビュー調査を根気よく依頼(リアル・オンライン・電話・文章など)し、研究内容の仮説設定内容の、より精度の高い検証作業を実施する。また、2022年1月から実施したアンケート調査先をさらに拡大(含む未回答企業への再依頼を含む)を実施し、回答企業社数を上げる努力もする。またネットワーク(大学教員、中小企業諸団体、同コーディネータほか)を今まで以上に活用し、再度、インタビュー調査機会の増大に努め、調査先を増やす。なお、できることならコロナ終息がなされ、海外先のインタビュー調査を再開したい。
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Causes of Carryover |
コロナ感染情勢下で、当初予定していたインタビュー調査(国内外)が実施できなかったことが大きな要因である。
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