2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01828
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 震災復興 / CSR / 企業の社会的責任 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題について探求することの意義を「復興CSRとソーシャル・キャピタル(【特集】復興の経営学)」『経営哲学』15巻2号(経営哲学学会、2018年10月)にてふれることができた。具体的には、復興CSR(企業の社会的責任)で培われたソーシャル・キャピタル形成のノウハウや支援スキル等の知識移転を、組織内における復興CSRの定着化の視点から追っていくことが今後望まれると示唆した。 また2018年9月には中国・浙江大学管理学院のMo Shenjiang准教授(CSR論)その他の教授を訪ね、中国におけるCSRの現状と課題について意見交換を行うことができた。中国企業においても地域復興など社会貢献活動へ寄せられる期待が年々大きくなっていることが伺えた。今後、アジアにおける日中企業の比較研究が可能となるよう研究交流をより進めていきたいと考える。 さらに2019年3月、仙台国際センターで開かれた仙台防災未来フォーラムの分科会(一般社団法人SDGsとうほく主催「SDGsと仙台防災枠組から切り拓く、東北の未来アクションプラン」)に討論者として参加した。震災の教訓をもとに2015年に策定された仙台防災枠組の考え方は、SDGs(Sustainable Development Goals:国連が定めた2030年までの持続可能な開発目標)の11番目のゴール「住み続けられるまちづくり」に取り入れられているが、災害時の健康・福祉の維持、女性に配慮した避難所運営(ジェンダー平等)、産業・インフラの整備といった面で、他のSDGsの目標とも大いに関わりをもつテーマであることを再認識することができた。今後、本件考察についてもとりまとめを行いたいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
件数としては多くないが、国内学術雑誌での招待論文掲載や海外(アジア地域)の研究者との交流を進めることができ、また国内フォーラム分科会への討論者としての参加を通じて、SDGs等近年のトピックへの新しい展望を得ることができたゆえ。
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Strategy for Future Research Activity |
東北地域における企業のSDGs活動により注視しながら、震災以降の民間による地域支援スキームの展開について探求していきたいと考える。また地元紙の記事データベースを活用しながら支援ノウハウがどのように地域外(他の被災地)に移転されていったのかを追跡的に調査することを試みたい。さらに中国等の海外の大学研究者との交流もより一層拡大させ、CSR及び企業のコミュニティ活動に関する具体的な共同研究の端緒を得たいと考える。
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Causes of Carryover |
計画的な執行に努めたが、旅費経費をやや過大に見積もってしまい若干の余剰が生じた。翌年度分の請求額に合わせても増加分は小さく、当初計画を変更することなく適切に執行できる見込みである。
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Research Products
(2 results)