2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01828
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 復興 / CSR / SDGs / 企業の社会的責任 / 持続可能な開発 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災における東京電力の福島第一原発事故のケースについて,レヴィナス(Levinas, E.)の応答責任の原理の観点から考察し、同社の震災後の教訓認識についても触れながら経営哲学学会で前年に報告を行った。これを基に、以下の論文「東京電力福島第一原発事故の責任論:Corporate Moral Agency理論に基づく判決解釈」(『経営哲学』18(1)(論集第36集), 35-39, 2021年4月)としてまとめた。また原発事故事例を技術者倫理と経営倫理の対立の観点からとらえ直したケース(高浦康有、藤野真也『企業倫理入門』白桃書房、2022年3月)を作成した。 それから、宮城県南三陸志津川地域の震災後の約10年にわたる環境配慮型の林業イノベーションの過程について,地域の林業企業家の取り組みに着目し関係者のオーラルヒストリーに基づく分析を共同研究で行った。その成果としてManagement & Organization History等の海外ジャーナルへの投稿準備が進められている。 さらに災害リスク管理(仙台防災枠組 2015-2030)における、企業防災の為の「事前の備え」とシナリオ分析について、デュプイの賢明な破局論(Dupuy, J.-P.)を基に考察した。この考察は「グローバル社会とSDGsの経営哲学」(上林憲雄・小松章(編著)『SDGsの経営学 ―経営問題の解決へ向けて』千倉書房、2022年春刊行予定)において公開される予定である。 その他、復興過程に関わるNPOの観点から、国立大学協会 令和3年度防災・日本再生シンポジウム「東日本大震災からの産業再生 経済復興の検証と展望(その2)」東北大学2021年度地域産業復興調査研究プロジェクト ・NPO班報告会「NPOは何を変えたか―震災後10年におけるNPOの成果と課題―」(2022年2月28日、オンライン)においてパネリスト討論結果への講評を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で国内外の調査活動等の機会が限られる状況の中、文献研究中心になる傾向があり、当初目的に対してそれほど高い進捗率の達成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
被災地における林業企業家の研究はKen Sakai, Michi Fukushima, Yasunari Takaura 'Forest entrepreneurship history: Innovations around a regional forest in post-tsunami recovery in Northeast Japan, 2011-2021'としてまとめられる予定である。 また国際的な情勢を反映し、復興CSRからSDGsへと被災地企業の社会的取り組みの力点もシフトを見せるようになっている。地域企業の取り組み事例について、本学知のフォーラムのテーマ・プログラムの勉強会の機会を通じて調査することから始めたい。復興CSRがどのようにSDGsへの取り組みに発展していったか、その連続性/不連続性についてとりわけ研究対象としていきい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス禍で国内外の調査出張旅費の執行ができなかった。次年度の旅費執行も限定されると思われるが、文献やデータベースの購入、論文校正等の外注費などを中心に適切、有効な利用に努めたい。
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