2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01828
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高浦 康有 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (00340216)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 復興 / CSR / SDGs / 企業の社会的責任 / 持続可能な開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は復興CSRの定着化メカニズムに関して実証的に明らかにしようとするものである。 昨今注目されるSDGs経営との関わりで、東日本大震災での企業防災上の教訓や原発事故での環境、生存権に対する企業責任について考察を深め、「グローバル社会とSDGsの経営哲学」(上林憲雄, 小松章編『SDGsの経営学 : 経営問題の解決へ向けて』、千倉書房、2022年8月)の形で論考をまとめた。 また、日本企業における昨今のパーパス制定の動きとの関連で、これまでの企業の社会的責任の変遷を基礎理論的にまとめた「パーパス経営の展開」(村山元理との共著、日本経営倫理学会編『経営倫理入門: サステナビリティ経営をめざして』(文眞堂、2023年3月)を執筆するに至った。 社会貢献の点では、地元紙への寄稿「防災をあらためて考える」(2月20日、河北新報夕刊とぴっく)において、トルコ南部で2月に発生した大地震に関係し、東北の被災地でも自治体や企業、NPO、町内会などが募金や物資寄贈を行う動きがあることを伝えるとともに、3月に開催される世界防災フォーラムの意義について言及した。 さらに仙台防災フォーラム(3月4日、仙台国際センター)の「備える防災とSDGs」(一般社団法人SDGsとうほく主宰)のテーマセッションで講評を行い、被災地での経験や得られた防災の教訓をトルコ地震支援などより国際的な場面で活かしていくべきことを主張した。 実地視察の点では、大分大学レジリエント社会地域共創シンポジウム及び防災避難所EXPOをに参加し、被災者のQOL向上支援や企業の防災技術開発について地域を超えた取り組みの広がりを感じることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍が過ぎ去る気配を見せつつある昨今、調査研究や学会発表における制約は解消に向かっているが、研究調査の段取りを再構築するのに時間を要している。また震災復興から地域づくり、SDGs対応と企業の取り組みが広がる中、研究テーマをどのように拡張していくべきか、模索を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
東洋経済ESGオンラインのデータセットを活用し、災害支援に注力する企業にどのように特徴が見られるのか、とくにガバナンスにおける多様性の観点から定量的に明らかにするとともに、定性的にもその特徴を抽出するようなケース・スタディを行うことができればと考える。また主宰する「とうほくSDGsアワード」の表彰事業のケース分析を通じて、災害復興とSDGsの関連性について、より探求できればと考えている。
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