2018 Fiscal Year Research-status Report
日本企業に破壊的イノベーションは可能か:複数ケーススタディ分析
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18K01829
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
馬場 靖憲 麗澤大学, 経済学部, 特任教授 (80238229)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破壊的イノベーション / 日本企業 / 企業文化 / リーダーシップ / 両利き経営 / 複数ケーススタディ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本には破壊的イノベーションを志向する企業があるが、両利きの経営の実現のためには、組織構造と運営体制の刷新のみでは足りず、「えいやっ」の実行力を後押しする企業文化とリーダーシップが必要になる仮説に立脚し、企業行動を変革するためには何が必要か、明らかにする。 分析手法としては、インタビュー調査に基づいた質問票調査と実証分析、さらに、両利き経営分析における日本企業の特性を明らかにするために、追加的に、複数ケーススタディを併用する。
本年度は、調査における分析フレームワークを最終的に同定するために、既存質問票調査で構築したデータベースについてさらに理論的考察を継続した。その結果、欧米で開発された両利き経営研究を日本企業を対象として適用する際に、どのような修正等が必要かに関して、一定の知見が得られた。その成果は、T.Shibata, Y. Baba, M. Kodama, J. Suzuki, "Managing amdidextrous organization for corporate transformation: a case study of Fujifilm" R&D Management,として発表済みである。
さらに、進行中の研究では、企業トップのリーダーシップに依拠する組織改革と、ボトムアップによる企業風土の改善、また、それによる企業行動の活性化が二者択一的な戦略オプションでなく、成功事例に限定して観察すると、二つの観点が同時に満足される可能性が明らかになった。この発見を受けて、現在、同仮説のさらなる検定作業を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の馬場は、本研究を企画立案した際の研究拠点であった東京大学を昨年度末に定年退職し、本年度から麗澤大学へとその研究拠点を移した。
本年度においては、研究環境の変化に伴う研究拠点の再整備、また、新しい教育負担への対応等について、予想を超えた時間と手間が発生し、当初、予定した研究スケジュールから大幅に遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において、欧米で開発された両利き経営の研究手法を日本企業を対象に適用する際に、どのように理論フレームを修正して研究を進めれば良いか、一定の知見が得られた。
来年度は、その知見を生かして、日本企業が取るべき改善策の具体的な考察を可能にするために、両利き経営に対する理論・実証研究を継続し、経営・政策について具体的な含意を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究代表者の馬場は、昨年度末、本研究の企画立案にあたった東京大学を定年退職し、本年度始めにその研究拠点を麗澤大学に移した。研究環境の変化と新たな教育負担への対応から、物品費を使った研究環境の整備、また、企業活動の実態を把握するためのインタビュー調査、さらに、論文の作成等、本年度に予定された科研研究の一連のスケジュールは大幅に遅延することを余儀なくされた。
次年度においては、本年度に実施できなかった科研研究に本腰を入れ、遅延したスケジュールの早期の実施を目指す。具体的には、先ず、研究の速やかな実施を可能にする研究環境を整備するために、物品費を最適な形で充当する。次に、企業の実態を正確に把握し、加えて、研究コミュニティから研究の進展を適切に評価してもらうために、旅費を適切な形で充当する。さらに、作成中の英文論文を投稿する前に、その他経費を使用して、専門家からの必要な校閲サービスを受ける予定である。
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