2023 Fiscal Year Research-status Report
Study for the effect of standardization on innovation and business benefit
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18K01830
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
江藤 学 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (30280902)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 標準化 / 中小企業 / 新市場創造型標準化制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象である新市場創造型標準化制度は、2015年に開始され、2022年までの8年間に56件のテーマを採択した。当初目標としていた5年間で100件という目標を満たすことはできなかったが、それでも50件以上の提案が行われ、既に40以上のJIS規格が策定され発行されている。2023年度は、本研究の終結に向け、ここまでに採択された56課題について再度見直しを行い、新たな視点での分類を試みた。コロナによるインタビュー調査の困難さも少し解消されたため、数件のインタビュー調査を実施することもできた。 その結果、標準化をビジネスに活用しようとする中小企業の活動は大きく3つのタイプに分類できることが分かった。第一のタイプは規格によって特定市場の独占を指向するものであり、制度開始当初はこのタイプの提案が多く、全体56件中21件がこのタイプの標準化であった。このタイプについては標準化の新しい活用方法として、2017年~2019年に研究成果として学会発表や論文執筆を行っている。 その後、強制規格をクリアする事前準備としての標準化提案が見られるようになり、56件中13件のテーマが強制規格をクリアするという長期目標の第一段階として実施されていた。製品だけでなく、会社としての社会的信頼を得るうえで標準化がうまく活用された事例と言えるだろう。 そして制度後半になって増加してきたのが新たな試験方法を開発し、その試験方法を標準化すると同時に、試験機器を販売したり受託試験ビジネスを開始するタイプだ。56件中20件がこのタイプの標準化であった。 以上の分析の結果を規格の普及戦略という観点から整理すると、同じ標準化であっても、規格の普及先が最終製品のユーザー、製品の信頼性担保責任主体、規格自体の利用者に分かれ、それぞれ異なった標準化戦略をとる必要があることが明確になった。この結果を取りまとめ論文化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象制度による採択件数が当初予想された件数の半数となったため、研究対象母数は半減した。さらにコロナの影響でインタビュー調査が困難となり、各採択課題の詳細研究が困難で、文献調査で代替せざるを得ない状況が続いている。このため、研究はやや遅れ気味となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けインタビュー調査などによるデータの精度向上を図り、2022年度に整理した分類のブラッシュアップを図る。可能な範囲でアンケート調査も実施し、制度によるビジネス成果の定量的把握も行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
23年度はコロナの影響がまだ残っており、特に地方へのインタビュー調査が困難であった。このため、研究方式を文献調査中心に変更したことで、旅費や物品費の支出が少なかった。24年度は研究最終年度であるため全件に対するアンケート調査を実施するとともに、その結果を見たうえでいくつかの課題を選定し、それらに対するインタビュー調査を実施する。このための旅費、物品費が必要となる。また、アンケート調査集計作業のための人件費が必要となる可能性もある。
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