2018 Fiscal Year Research-status Report
不動産会計開示情報の企業不動産マネジメントへの統合的活用方策にかかる基礎的研究
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18K01843
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山本 卓 明海大学, 不動産学部, 教授 (70732866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 減損会計 / 投資不動産会計 / 遊休不動産 / 鑑定人評価 / 内部評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
有形固定資産減損処理や投資不動産時価開示等の不動産会計開示情報の作成には、作業過程において不動産時価評価等が要求され、その高い専門性のゆえに莫大な社会的コストを要する。しかし、投資家、債権者、経営者等によって、これらの情報が十分活用されていない。山本は、国内でいち早く減損データ・投資不動産時価開示データを活用した研究に着手し、CRE(Corporate Real Estate: 企業不動産マネジメント)の合理的な意思決定に活用できるよう注力してきている。本研究の目的は、これら先駆的な研究業績を基盤として、A.不動産会計開示情報の統合的活用を前提とした合理的・効率的なCREを実現するための具体的方策を確立すると同時に、B.これら情報の信頼性担保のための仕組みを提示することである。 上記の研究目的を達成するため、平成30年度については、以下の作業を実施した。 ・企業不動産の効率的利活用と企業特性等の関係を解明するための研究を行った。投資不動産時価開示データを対象とした分析結果を基盤とし、もう一つの重要な研究対象である有形固定資産減損データをも含めて、財務データ等を広範に活用し、減損発生メカニズムと減損発生の株価への影響にかかる実証分析を実施した。 ・減損会計適用企業について「鑑定人評価」採用企業と「内部評価」採用企業の財務データを、統計的手法に基づき分析・比較することにより、両者の違いを明らかにした。このことにより、会計情報を開示する企業側のインセンティブや経営行動のメカニズムを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り財務データを整備し、それに基づいた予定された実証分析を行うことができた。分析結果も一定水準にあり、仮説を検証できるものであった。その結果を、複数の学会報告、学術論文の公刊に具現化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえ、企業が保有する遊休不動産のあり方に絞り込んだ究明を行う。具体的には、整備された財務データに基づき、遊休不動産の保有状況に着目した分析(ロジット回帰分析等)を行い、遊休不動産を保有する企業の特性を究明する。さらに、遊休不動産の保有状況と企業の時価総額との関係性を分析するものとする。さらに、これら分析を補足する目的で、企業や監査人等を対象としたヒアリング調査を広範に行う予定としている。
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Causes of Carryover |
実証分析に必要になる財務データ等の整備が予定したよりも低額で行うことができたため。次年度は、更なるデータ整備と企業等に対する関係者ヒアリングに要する経費に充当する計画でいる。
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Research Products
(5 results)