2020 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Research on the Integrated Use of Real Estate Accounting Disclosure Information for Corporate Real Estate Management
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18K01843
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山本 卓 明海大学, 不動産学部, 教授 (70732866)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 投資不動産時価データ / 減損データ / 遊休不動産 / CRE / 企業不動産マネジメント / ESG / 環境経営 / 不動産ストック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、進展する不動産会計を背景として、蓄積しつつある投資不動産の時価情報と有形固定資産の減損情報に注目し、それらを統合した形でCREの合理的な意思決定に活用することを目的とする。一部上場企業の不動産会計情報データを収集整理し、統計的に分析する手法と、補完的に企業を対象としたアンケート調査を実施した。これらの研究結果の要点は、以下の通りとなる。 ①業種によって、企業の不動産保有の違いが生じていることが明らかとなった。「製造業」では、外国人持株比率、研究開発費比率の高い企業ほど、遊休不動産を保有しない効率的な経営が促進されていることが確認された。②遊休不動産保有に対する投資家評価については、業種の違いにより異なる傾向があることが判明した。「製造業」は他業種に比較し、有利子負債比率が高い傾向にあり、減損をすることにより財務的にも負債比率を高めるため、投資家は減損実施に対して、ネガティブな反応を示した。それに対して、「商業」については有利子負債比率が低い傾向にあり、減損をすることにより従前の含み損を解消し将来の減損リスクが低くなることを理由として、投資家は減損の実施に対してポジティブな反応を示した。③保有不動産売却の動機・効果について、製造業では遊休不動産を売却する企業は、有利子負債比率が高く、売上成長も優る傾向にあることが明らかになった。④不動産評価専門家の役割・貢献では、不動産鑑定士の使用に関するガイドラインを設けることで、財務情報の信頼性の担保および監査の質や精度に貢献し、経営者の裁量性についても抑制が期待されることが明らかになった。⑤環境経営とCREとの親和性の検証では、「運輸・倉庫・不動産」の業種において、環境への取り組みに力を入れている企業ほど、企業価値が高いことが明らかになった。 これらの研究結果は、今後の適切な企業不動産マネジメント手法構築に貢献するものである。
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Research Products
(6 results)