2019 Fiscal Year Research-status Report
Diversity management of small and medium-sized enterprises: Approach by triangulation
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18K01844
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
八木 規子 聖学院大学, 政治経済学部, 准教授 (20817382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 亘 聖学院大学, 心理福祉学部, 教授 (90150747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイバーシティ / 質的研究 / 中小企業 / 外国人 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、質的研究においては、協力企業における新規データ収集が進捗した。国籍別では日本人14名、フィリピン人13名、ベトナム人1名、雇用形態別では、正社員6名、パート7名、派遣社員14名、外部コンサルタント1名、延べ29件のインタビューを実施し、これらのインタビューデータの文字起こしを進めた。こうして得られたデータの分析を助ける質的データ分析ソフトを購入、ソフトウェアを活用する方法を学ぶワークショップにも参加した。 質的データの分析視角としては、昨年度考案した「複数のダイバーシティ属性の境界を組織成員がどのように認識しているか」また「個人を複数のダイバーシティ属性の複合体とみる」というexperience-distant概念を発展させ、職場という文脈において個人が複数アイデンティティを構築する過程で、ダイバーシティ属性を組織成員がポジティブに捉える条件・要因を明らかにする、という分析視角を得た。この分析視角から収集データを読み解いた論考を国際学会(於:中国雲南省)で発表、その発表を進展させた論文をInternational Journal of Business Anthropologyに投稿した。この論考により、組織が多様な成員を包摂するための条件を明らかにする手がかりが得られた。 量的研究では、昨年度絞り込んだ論文をもとに、既存の論文が選定している変数やそれらの尺度を検討した。これらの検討を踏まえて、質的研究で考案した分析視角を定量的な設問に落とし込むための方策について、研究分担者と研究代表者でディスカッションを継続的に行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
質的研究は進捗しているが、質的研究で収集したデータを、量的研究に馴染むアンケート項目に転換する作業が遅れている。これは、これまでに考案したデータ分析視角が、文脈依存性の高い概念であるため、文脈依存性の高い概念をどのようにアンケートの設問に置き換えるかに苦闘している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、2020年9月~2021年2月に所属大学で特別研究期間を取得予定となっている。この時間を活かして、質的データの分析を進め、量的研究に使える設問への転換作業を推進する予定である。他方、新型コロナウィルス感染症という外部環境要因が研究の進展にどのような影響を与えるかの予測が難しい。すでに、追加の質的データ収集が中断するという影響が出ている。量的研究のアンケート設計が整ったとしても、2020年度中のアンケート実施に協力会社の協力が得られるかどうか、危ぶまれる。その場合、研究期間の延長も視野に入れざるを得ないかもしれない。
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Causes of Carryover |
質的データ収集後のテープ起こしが次年度に回ったことと、量的研究のアンケート設計、実施が当該年度にできなかったことが、次年度使用額が生じた主たる理由である。これらについては、次年度使用する見込みであるが、アンケート実施については、新型コロナウィルス感染症の収束動向によっては、次々年度に持ち越さざるを得ない可能性もある。
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