2022 Fiscal Year Research-status Report
Diversity management of small and medium-sized enterprises: Approach by triangulation
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18K01844
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
八木 規子 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (20817382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 亘 聖学院大学, 心理福祉学部, 特任教授 (90150747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイバーシティ / 中小企業 / 質的研究 / 外国人 / 量的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は、前年度の量的研究分担者との対話から得られた、研究対象としている職場に存在する「働く場面」の分類と、その場面ごとに従業員が「こだわること」「重視すること」に関するコーディングに注力する必要がある、との示唆をもとに、質的データの分析を進め、その結果を投稿論文にまとめた。 同投稿論文では、質的データのコーディングから「働く場面」と「仕事へのこだわり」が二つのトリガーの役割を果たしている、という仮説を提示した。トリガーとは、さまざまなダイバーシティ属性に対して、現場の人びとが付与した意味を変化させる「きっかけ」を指す。トリガーの存在は、職場のコンテキストにより、人びとがダイバーシティ属性に付与する意味は変わりうることを示した。ダイバーシティ属性に付与する意味が変わるということは、ダイバーシティが組織の成果に与える影響も、コンテキストによって変わりうることが予想できる。こうしたダイバーシティ属性の境界の流動性は、これまでのダイバーシティ研究の主要な理論であった社会的カテゴリー理論と情報・意思決定理論では、中心的な論点とされてこなかった。この点を明らかにしたことが、令和4年度研究実績の第一の貢献である。また、この発見は、組織のダイバーシティが組織の社会的統合とパフォーマンスを弱めたり、あるいは進めたりするメカニズム、およびその条件をより良く理解するための第一歩ともなる。その第一歩が示すことは、ダイバーシティが組織の成果にもたらす影響を吟味する上では、コンテキストが重要である、ということである。これが第二の貢献である。 量的研究では、アンケート調査の実施設計を企図していた。しかし、質的研究結果の取りまとめの遅れ、また、コロナ禍によるアンケート実査の可能性が低かったことから、調査設計の大枠の構想をするにとどまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度も新型コロナウイルス感染症は収束には至らなかった。このため、食品関連企業という、感染症対策に関して非常にセンシティブな調査協力会社の事業遂行に配慮することを優先した。その結果、計画していた量的研究に使う設問を補強するための追加インタビュー、また、量的研究のアンケート調査の実施は、断念せざるを得なかった。これに伴い、研究の遂行は、既収集の質的データの分析を投稿論文としてまとめることに傾注した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に入り、新型コロナウイルス感染症との共存という新しい方向性が浮上してきた。この機を捉えて、量的研究のアンケート調査の実施を目指す。最終年度であることから、量的研究に使う設問を補強するための追加インタビューは、今回は見送ることとする。量的研究のアンケート調査の設計は、既収集の質的データの分析に基づいて得られた項目によって行う。アンケート実査は令和5年9月に実施できるよう、調査協力会社と交渉に入る。これは、データ分析を年内に済ませるためである。令和6年明けから、これまでの研究成果を報告書にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度もコロナ禍の影響を受け、調査協力会社での量的研究に使う設問を補強するための追加インタビュー、また、量的研究のアンケート調査の実施を断念した。研究活動は、既収集のデータ分析と文献調査にとどまったため、次年度使用額が生じた。令和5年度は、アンケート実査を実施し、その調査結果分析、そしてこれまでの研究成果を取りまとめた報告書作成のために助成金を使用する計画である。
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