2023 Fiscal Year Annual Research Report
Diversity management of small and medium-sized enterprises: Approach by triangulation
Project/Area Number |
18K01844
|
Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
八木 規子 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (20817382)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷野 亘 聖学院大学, 心理福祉学部, 特任教授 (90150747)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ダイバーシティ / 中小企業 / 経営 / コンテキスト / 質的研究 / 量的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の重要性は、研究成果の少ない「中小企業におけるダイバーシティ経営」を、従業員レベルの視点から考察すること、また研究手法において質的研究と量的研究を組み合わせて実施することにあった。期待される研究成果として、(1)ある特定の日本の中小企業という個別具体的な文脈におけるダイバーシティ経営の実情を調査し、機能するダイバーシティ経営の条件の解明すること、そこから (2)中小企業一般に普遍化しうる、ダイバーシティ経営のあり方の仮説検証に役立つ、日本の中小企業に適合的なダイバーシティ尺度を開発することで、地域経済の重要な主体である中小企業の業績向上へ寄与することを掲げた。 最終年度を終えて、(1)に関しては重要な知見を得ることができたが、(2)については尺度の開発は未達に終わった。研究が計画通りに進展しなかった要因は、コロナ禍により協力企業へのアクセスが制限されたことが大きい。 最終年度は、前年度に質的データのコーディングから得られた仮説を検証するための量的研究を実施した。質的研究では、従業員インタビューの分析により、「働く場面」と「仕事へのこだわり」が従業員の文化ダイバーシティ属性への意味付与に影響を与えるトリガーの役割を果たしている、という仮説が示された。この仮説に基づき、アンケート調査を設計し、協力企業の従業員から回収を得た。文化の多様性が高い職場に配慮し、多言語(日本語、タガログ語、ビサヤ語、ベトナム語)に対応した調査票を作成した。 アンケート回答の分析から、日本人と外国人の間で、職務遂行時に求められる規則遵守について、自己認識と他者認識の間に乖離があることが判明した。この結果は、機能するダイバーシティ経営の条件として、職務遂行時に求められる規則遵守というコンテキストに着目すること、そして、文化ダイバーシティ属性の異なるグループにおける認識の乖離を管理することの重要性を示した。
|