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2020 Fiscal Year Research-status Report

New dynamic LOF: Location choice in emerging economies

Research Project

Project/Area Number 18K01846
Research InstitutionJ. F. Oberlin University

Principal Investigator

齋藤 泰浩  桜美林大学, ビジネスマネジメント学群, 教授 (50296224)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 竹之内 秀行  上智大学, 経済学部, 教授 (90297177)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords距離 / LOF / 立地選択
Outline of Annual Research Achievements

2020年は国際ビジネス(IB)研究とは何かを問い直す動きが見られた1年でもあり、Eden&Nielsen(2020)はIB研究をもっともうまく捉えるキーワードは複雑性だと論じた。IB研究には固有の複雑性を分析するためにIB研究者が開発してきた研究レンズの1つが距離である。Beckerman(1956)に始まり、国際化プロセスモデル(Johanson&Vahlne,1977)を経て、Kogut&Singh(1988)そしてShenkar(2001)へと至る距離に関する研究の系譜をまとめた「IB研究における距離~問題点の整理と今後の課題~」を執筆した。KSIの問題点を整理し、Hutzschenreuter&Voll(2008)のACDとZhou&Guillen(2014)のWADの検討を通して、距離尺度の課題を明らかにした。本研究課題に着手した当初より、IB研究の大きな流れのなかで距離という概念を位置づけることができたことは大きな収穫であった。
本研究課題のゴールは改良版WADを用いて立地選択研究を行うことだが、WADが過去のFDI経験を反映しているため、Barkema&Drogendijk(2007)らの成功企業はよく知る文化ブロックの深耕と新たな文化ブロックの探索の長期的なバランスをとっていたというファインディングスも再検討する。したがって、両利き(O'Reilly&Tushman,1997)も本研究課題の重要な概念の1つである。両利きに関する成果については、新型コロナウイルスの影響を受け、『日本企業のグローバル成長の戦略とマネジメント(課題)』の内容を見直すこととなり、2020年度中の出版が実現しなかったことは残念である。組織構造との関係で検討した第3章と組織文化との関係で考察した第5章を担当しているが、現在提出原稿の調整中であり、2021年度中の出版を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

遅れているため研究期間を1年延長させていただいた。距離尺度のデファクトスタンダードとも言われるKSIに対する批判は多数あり、Konara&Mohr(2019)は修正版ユークリッド距離を、Yeganeh (2014)はWMA(Weighted,Mahalanobian,and Asymmetrical approach)を提示している。また、KSIを用いる研究の大半が距離に対する個人の知覚がいかに形成され、その知覚が選好にどのように影響を及ぼし、企業のアクションがどうやって決定されるのか検討していないとの批判からは、国の特徴の客観的な違いである刺激と知覚を分けることによって距離の概念を根本的に修正することも提案されている(Maseland,Dow&Steel,2018)。
しかし、知覚された距離の概念化や測定は難しく、二次データで済むメリットから、われわれはKogut&Singh(1988)やBerry,Guillen&Zhou(2010)と同様に、国の特性の客観的な違いに基づいて国レベルで距離を把握する。そして算出にはマハラノビス距離を用いることにした。ただし文化的距離が同質的な影響を及ぼすという仮定(Shenkar,2001)を考慮し、ホームベース(Zhou&Guillen,2014)を修正すべく、事業経験と事業内容を反映した重みづけの検討に現在取り組んでいるところである。
ホームベース概念を用いることにより、Ronen&Shenkar(1985,2013)の文化ブロックに依拠した国際経験とFDIパフォーマンスの関係(Zeng,Shenkar,Song&Lee,2013)やLOFの地域版であるLORF(Rugman&Verbeke,2007)および地域的な拡張とグローバルな拡張のダイナミズム(Asumussen,2009)の再検討も可能になると考えられ、現在進行中である。

Strategy for Future Research Activity

Shenkar(2001)は距離研究で一貫した結果が得ることができていない原因を(文化的)距離という構成概念の概念的属性と方法論的属性に求めた。概念の問題と方法論の問題を切り離して考えることはできず、概念的属性の問題点を理解したうえで方法論的属性の問題をクリアしていく必要がある。この作業を進めていくうえで、20年度後半から本プロジェクトメンバー以外にも積極的に助言を求めるようにした。新型コロナウイルスの影響により中断していた研究会をZoomで再開し、必要に応じて参加してもらうようにした結果、距離に対する理解が一層深まった。両利きについても、バランス・ビューと結合ビュー(He&Wong,2004)は操作化の問題にとどまらず、両利きをどのように概念化するかという問題にかかわってくる(Cao,Gedajlovic&Zhang,2009)。こちらにも分野の異なる研究者のコメントがプラスに作用している。引き続き尺度作りにおいても協力を仰いでいく予定である。
まず「IB研究における距離~問題点の整理と今後の課題~」を提出し、Barkema&Drogendijk(2007)やAsmussen,Nielsen,Osegowitsch&Sammartino(2015)を踏まえた「LOFとLORF」を速やかに仕上げる。夏休みまでにWAD修正版を作り、それを用いて実証研究を行えるよう夏休みにデータベースを構築する。これまで各年版をCD-ROMで購入してきたデータの購入方法が変わり10~20年分を割安で入手できるようになると期待したが高額だったため、大学図書館でコピーして入手する必要がある(勤務先の図書館には所蔵されていない)。感染拡大が収束し、図書館の利用がスムーズに行えるようになることを祈るばかりである。
『日本企業のグローバル成長の戦略とマネジメント(仮題)』も何としても出版にこぎつける。

Causes of Carryover

緊急事態宣言が発出され、オンライン授業になったり勤務先のキャンパスへの入構制限が続いたこともあり、2020年度は距離や両利きといった本研究課題の中核となる概念の理解を改めて深めることに切り換えた。この計画変更により、IB研究の歴史のなかで距離や距離研究の位置づけがよく理解できたし、両利きについても概念ならびに操作化をめぐる議論を整理することができた。こうした取り組みについては、すでに入手済みの書籍や論文を使用し、Zoom研究会には交通費も必要なかったため、支出額を少なく済んだ。そこで生じた未使用分を1年延長させていただいた21年度に使用することにした次第である。
本研究で使用するデータは距離を測定するための国別のデータと立地選択行動やWADならびにホームベースの作成に必要な企業別のデータの2つに大別される。【今後の研究の推進方策】で触れたように、後者の10~20年分のデータについては交付決定額の直接経費を全額投入しても入手できないほど高額だったため、従来通り業界別データ(10万円)、各年版(12万円)、そして図書館でのコピーを併用してデータベースを構築することになる。感染状況をよく把握し、感染リスクがないようなら学生にも協力をお願いする予定である。そのための人件費を計上している(15万円)。

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Published: 2021-12-27  

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