2018 Fiscal Year Research-status Report
多様性風土が貢献意識を介し価値創造に繋がるか 女性活躍推進を通じた成果主義の変革
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18K01857
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
谷口 真美 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (80289256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダイバーシティ / 多様性 / 女性活躍推進 / インクルージョン / 職場風土 / 年齢の多様性 / 経歴の多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、人材の多様性をいかすことで価値創造につなげるプロセスを明らかにすることを目的としている。 初年度は、1)定量分析、2)諸外国の研究者との意見交換、3)定性分析、4)海外の文献レビューの4つを行った。1)は、日本に本社を置くグローバルカンパニーの国内外、職場レベルの属性データ、意識調査の結果を用い、第一次分析を行った。同社は近年、性別、年齢、経歴(中途採用)の多様化と、多様性を受け入れる風土、管理職の意識改革に取り組んでいる。同社のデータをマルチレベルで分析した。サンプルは、国内外の約1,000職場、約3万人のデータである。職場レベルの多様性として、管理職および従業員の性別、年齢、中途採用の多様性を用いた。その結果、職場レベルの多様性をいかす風土が、従業員の個々の心理的態度に影響を与えていることが明らかになった。モデルの中核をなす部分が実証できることが明らかになった。 2)は、2018年8月に米国シカゴで開催されたアカデミー・オブ・マネジメントの年次大会において、研究発表を行った際に、Alison Konard教授, Dass Parshotam教授らと意見交換を行った。Alison Konard教授は、海外同業他社(近年、ジェンダー・ダイバーシティの取り組みを進めたカナダの企業)の全従業員データを時系列分析しており、人材の多様性研究を長年行っている。 3)は、日本に本社を置く別業種のグローバルカンパニーの、欧州のトップマネジメントチームのメンバー、各国子会社のトップに対して、ヒアリング調査を行った。その結果、環境変化に応じて、メンバーの多様性を変容させ、各メンバーのインクルージョンをいかに行っていくかについての時系列的な運用を明らかにした。 4)は、とくにインクルージョンの概念について整理し、その結果は、「運輸と経済」に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)第一次的に行った定量分析において、当初、想定したモデルに近い実証結果を得ることができた。職場レベルの多様性をいかす風土が、従業員の個々の心理的態度に影響を与えていることが明らかになった。モデルの中核をなす部分が実証できることが明らかになった。しかしながら、調査依頼先企業によれば、価値創造に関する職場データが、入手しがたく、その点については、今後協議を重ねていく必要性がある。 2)諸外国の研究者との意見交換において、本調査テデータが、1つの企業のほぼ全サンプルに該当するため、その点で非常に価値のあるものだとのコメントをいただいた。 3)定性分析については、定量調査と同じ企業には、ヒアリング調査をまだ実施できていない。その一方で、別業種のグローバルカンパニーの協力を得て、欧州トップマネジメントチームのメンバー、および各国のトップに対してヒアリング調査を数十人レベルで実施し、今回のモデルを実証する上で希少なデータを得た。 4)文献レビューにおいては、「運輸と経済」において結果を報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き1)定量調査(データ分析)、2)諸外国の研究者とアカデミーオブマネジメントにて意見交換、3)定性調査、4)文献レビューを行っていく。 計画の変更を要するのは下記の2つである。1つは、定量分析におけるビジネスパフォーマンスの測定についてである。アンケート調査の協力をいただいた企業から、たとえ同じ業態の職場であったとしても、多くはその職場の環境要因、例えば人口動態の変化などによって、職場パフォーマンスの変動が大きく、また、管理職レベルの異動も多いため、どの時点でのビジネスパフォーマンスを測定することが難しいとの回答を得た。つまり、定量分析を行う全職場の価値創造のデータを得ることが現段階では難しくなった。そこで、うまく職場成果を上げることができているベストプラクティスについて定性調査を行う可能性が出てきた。もちろんデータが入手できるように依頼は続けたい。 2つは、定性調査の対象である。もともと定量調査と同じ企業の多くの職場のヒアリング調査を実施する予定であったが、今後、大きな組織構造改革を控えているため、当初予定していた多くの海外店舗のヒアリング調査が難しくなった。そこで、別業種のグローバルカンパニーの協力を得て、欧州トップマネジメントチームのメンバー、および各国のトップに対してヒアリング調査を引き続き実施する。そうすることで、今回の調査設計段階のモデルを実証していきたい。
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Causes of Carryover |
ヒアリング調査のテープ起こしなどの謝金が必要な作業が、次年度に繰り越したため
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[Journal Article] Proactive career behaviors and subjective career success: The moderating role of national culture2018
Author(s)
Smale, A., Bagdadli, S., Cotton, R., Dello Russo, S., Dickmann, M., Dysvik, A., Taniguchi, M... & Rozo, P. et al
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Journal Title
Journal of Organizational Behavior
Volume: 40(1)
Pages: 105,122
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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