2020 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド組織形態のコレクティブインパクト促進への可能性
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18K01860
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
佐々木 利廣 京都産業大学, 経営学部, 教授 (80140078)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コレクティブインパクト / 協働 / クロスセクター |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでコレクティブ・インパクト研究会の開催を通じて、混沌とした社会課題の解決に取り組む企業セクターの代表者、NPO法人等のプレーヤー、さらには行政機関のスタッフなどが集合し直面する社会課題の内容や解決に向けた道筋などを議論してきた。さらに全国からゲストスピーカーを招聘しながら意見交換を行う等、様々な事例研究等を通じてコレクティブ・インパクトについての理解を深めながら研究を進めてきた。 2020年度は対面での研究会が開催できずオンライン研究会になり十分な議論ができないこともあったが、これまでの議論を集約しながら日本でのコレクティブ・インパクトの方向性についてある程度文書化することができた。その成果は書籍として出版予定である。タイトルは『コレクティブ・インパクトへの挑戦(仮)』であり中央経済社から2021年秋頃発刊予定である。 その内容は、第1章から第3章までは、コレクティブ・インパクトという考え方がいつどのような形で生まれたのか、さらにそれが時間の経過とともにどのように軌道修正していったのかという経緯と日本での導入を考えるときの陥穽を議論した。第4章から第11章までは、日本のコレクティブ・インパクトのケースを紹介している。続いて第12章から第14章までは日本におけるコレクティブ・インパクトの実践に関してキーファクターになるであろう評価と組織と人材の3つについて詳細な議論をしている。最後の第15章でコレクティブ・インパクトの可能性について纏めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧米でのコレクティブ・インパクトの歴史と現状を把握しながら、日本での導入や普及に関するポイントをある程度明らかにすることができたこと、さらに日本でのコレクティブ・インパクトの萌芽的ケースについてもケース分析を通じてある程度明らかになったことから、所期の研究課題について目的をほぼ達成したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでコレクティブ・インパクトを混沌とした社会課題の解決のための仕組みあるいは考え方の変革として考えることの意味について考えてきたが、さらに実践的側面からコレクティブ・インパクトを実現するための戦略についても考える必要がある。たとえばある地域で生まれたコレクティブ・インパクトの実践を他の地域にどのように移転させていくかというスケールアウト戦略、またある地域でコレクティブ・インパクトが雨後の竹の子のように群生するようなエコスステムをどのようにデザインするかというデザイン戦略などは今後検討すべき課題である。日本でも参考になるような事例が少しずつ生まれてきているように思われることから、今後はこうしたスケールアウトの問題やエコシステムのデザインの問題にも注目していきたい。
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Causes of Carryover |
当初予定していた国内調査予定が新型コロナウイルス感染症のために中断を余儀なくされたことから、改めて来年度国内調査を計画している。
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