2021 Fiscal Year Research-status Report
多国籍企業の知的財産マネジメントとグローバル・シチズンとしての納税責任
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18K01863
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
林 尚毅 龍谷大学, 経営学部, 教授 (10300451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 徹弘 龍谷大学, 経営学部, 教授 (20225006)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 知的財産 / 付加価値 / 移転価格 / GVC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多国籍企業の知的財産マネジメントの特徴を考察し、多国籍企業がグローバル・シチズンとしての納税責任を果たすことがその企業価値の向上に結びつくことを解明していくことである。 今年度は、アジア経営学会全国大会において研究成果の報告を行った。本研究報告では、米国をはじめとする先進国のICT多国籍企業がなぜオフショア・アウトソーシングを実践するのか、それがなぜグローバルな価値連鎖(GVC)をコントロールできるのか、そしてその結果、どのような問題が生じているのかについて考察を行った。 はじめに、貿易に関連する知的財産権の保護を定めた国際協定(TRIPS)の成立によって、米国をはじめとする先進国のICT多国籍企業が知的財産を戦略的に活用することが可能となったことを明らかにした。次に、米国の多国籍企業は、知財独占状態における情報の非対称性の利用によって、各国のサプライヤーを差別的に管理し、自社の全社的な利益の最大化を目的に行動しているが、グローバルな社会的公正性という観点からは、各国、各企業への偏った付加価値(人件費、純利益、税金等)分配の問題を発生させていることを詳説した。さらに、日本のICT多国籍企業については、有形固定資産の比率の推移に基づいて、米国のICT多国籍企業と類似した行動パターンを採用するタイプとそうならないタイプに分けられる可能性があることを明らかにした。 今後はアジアにおける日本のICT多国籍企業のGVC利用の特徴とその問題点に焦点を絞り、平等で公正な納税と企業価値の向上の関係について考察を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症のパンデミックの影響で、予定していた海外での調査、報告ができなかったからである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた研究をまとめて海外、または国内の学会においてその成果を報告し、論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
2021年度は海外出張が不可となったが、それを今年度の学会報告などに充てる予定である。
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