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2019 Fiscal Year Research-status Report

ファミリービジネスの競争優位の源泉としてのファミリー性についての研究

Research Project

Project/Area Number 18K01864
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

上野 恭裕  関西大学, 社会学部, 教授 (30244669)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsファミリー性 / 社会関係資本 / 社会情緒的資産 / 長期存続
Outline of Annual Research Achievements

初年度から引き続き資料収集と事例研究、データベースの整備を行った。本研究のテーマであるファミリー性について引き続き文献資料を収集した。カギ概念であるファミリー性の概念に関連してGomez-Mejia, et al. (2007、2011)により提示された社会情緒的資産理論が注目を集めている。社会情緒的資産とは「ファミリービジネスであるが故の情緒的な資産」であり、この理論はファミリービジネスを所有する創業者一族が、事業を通じて得られる非財務的な価値の追求を優先するがゆえに、非ファミリービジネスに対して優位性を持っているとする議論である。ファミリービジネスの経営陣はこの社会情緒的資産を保持し、増やしたいという欲求を非ファミリービジネスよりも強く持つため、特に継続性の観点から強みを持っているといえる。
これらの先行研究をもとに、事例研究が継続して行われた。社会情緒的資産を強く持っており、長期存続を実現している京都の酒造会社にインタビュー調査を行った。同社は1890年代に京都に創業され、120年以上の歴史を持つ酒造会社である。同社は京都盆地の恵まれた水系を利用して酒造りを行っているが、経営者はそのような自然に深く感謝をしており、次の代に事業を引き継ぐことを大きな目標として経営を行っている。同社においては非財務的な価値の追求が行われているといえる。
以上の事例研究をもとにして、ファミリー性の概念について、社会関係資本と社会情緒的資産の観点からの整理を試みている。またこれらの概念をもとにした実証研究を行うために、データベースの整備を進めている。社会関係資本や社会情緒的資産は組織のガバナンスと深く関わっている。そのため、企業の株主情報や借入金、関係会社に関するデータベースの整理を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画通り、文献の収集、資料の収集は順調に行われているが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でインタビュー調査が一部延期されており、その点では若干の遅れが出ている。また、学会も多くが中止になり、発表の機会も失われており、研究者との議論も十分に行えていない。次年度において感染拡大が落ち着いてきた後に、インタビュー調査を再開し、研究の遅れを取り戻す予定である。また、学会が再開された場合、学会発表を行い、研究者との議論を行い、理論の精緻化を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

今後は収集した文献を読み込み、批判的検討により、問題の更なる明確化を行う。特に近年注目されている社会情緒的資産に注目し、文献研究を進め、概念の整理を行う。同時に、インタビュー調査の再開へ向けた準備を行う。インタビュー調査を順調に行うことができれば、それをもとにした仮説構築を行い、仮説に基づいた質問票調査を実施する。また学会発表を踏まえて論文を執筆し、研究成果を発信し、得られた発見事実の妥当性を検証していく予定である。
また、昨年度に新型コロナウイルスの感染拡大により、キャンセルとなった海外ファミリービジネス企業へのインタビュー調査も行い、国際比較の観点からも研究を進めていく予定である。また、これまで行ってきた上場企業のデータベースに合わせた、非上場企業のデータベースの整備も進める予定である。

Causes of Carryover

今年度末に計画していた海外のファミリービジネス企業へのインタビュー調査がキャンセルとなり、海外旅費に未使用額が生じた。また国内企業へのインタビュー調査も中止となり、次年度に繰り越しとなっている。インタビュー予定の企業とは連絡を取り合っており、次年度状況が改善された場合には、インタビュー調査を実施するために旅費として使用する。またインタビュー調査が可能となれば仮説検証を進めることが可能となり、質問票調査にも取り組む予定である。そのための郵送調査に研究費を使用する予定である。また研究結果を学会等で公表するための旅費としても、研究費を使用する計画である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2020

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 中小企業における経営資源としてのネットワーク2020

    • Author(s)
      上野恭裕
    • Journal Title

      ひょうご経済

      Volume: 145 Pages: pp. 6-9

    • DOI

      10.11501/2892791

URL: 

Published: 2021-01-27  

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