2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01871
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西尾 チヅル 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 教授 (80241769)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 消費者行動 / ソーシャルマーケティング / エシカル消費 / サステナビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本の消費者のエシカル志向と行動に焦点をあて、その背後にある価値構造と行動促進のメカニズムを解明し、国際的にその推進が求められている社会の持続可能性を高めるライフスタイルとして定着させるための方法を提示することを目的としている。具体的には、課題1:消費者のエシカル問題の認知の多様性とその特徴、課題2:消費者のエシカル志向の特徴と構成要素の特定化、課題3:企業のエシカル支援やエシカルプロダクト選択の規定要因の解明の3つの課題について取り組む。 本年度は主として課題2を明らかにするために以下の研究を行った。1つは、エシカル志向と関連の深いサステナブル志向やおもてなし志向について関連する先行研究をレビューし、それぞれの概念を規定すると共に、構成要素についての仮説モデルを構築した。そして双方共に、実証分析を通じてその妥当性を検討した。おもてなし志向に関する研究はサービス学会で発表し、成果の一部をまとめた。また、サステナブル志向については、申請者が2006年以降、複数回に渡って収集してきたデータと比較し、それらの構造の特徴と経年的な変化を捉えるべく、解析中である。一方で、消費者のエシカル志向に対する感情、本年度は罪や恥といったネガティブ感情の影響に関する研究も行った。具体的には、エシカル行動を実践していない消費者に対して、行動に対する重要性認知を喚起するメッセージを露出することによって、罪感情や恥感情が生起するのか、それらがエシカルに対する認知構造や、エシカル志向の形成にどのような影響をもたらすかを検討した。その結果、メッセージによって罪と恥の両感情が生起されると、それらはエシカルに対する認知構造の変化に対して調整効果をもつことなどが明らかになった。以上の研究はさらに解析を進め、論文投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、本年度に行う計画になっていた消費者のエシカル志向の特徴と構成要素の特定化に関する複数の研究を実施し、データを収集すると共に、統計的な解析を行った。いずれの研究においても、おおむね想定していた分析結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
課題2の解析をさらに進めて、成果を論文としてまとめると共に、これらの成果を踏まえた上で、課題3の企業のエシカル支援やエシカルプロダクト選択の規定要因に関する独自の仮説モデルを構築し、その妥当性を実証分析を通じて確認する。最終年度である次年度は、これらの成果も踏まえて本研究を総括し、最終報告書をまとめる。
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Causes of Carryover |
理由:昨年度の研究実績報告書で報告したように、昨年度は先行研究のレビューや研究方法の精緻化に努め、予備的分析にとどめることにし、大規模実証研究のために多くの費用を繰り越した。本年度は、研究課題を実行するにあたり、複数の研究を計画したが、それらを統合的かつ効率的に実施することにより、当初の計画よりも少ない費用で研究を実行することができた。そのため、研究費用の一部を次年度の研究に繰り越すことが可能となった。 使用計画:繰り越した費用は次年度(最終年度)に計画している大規模調査に全額使用する。
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