2020 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける流通政策と社会関係資本に関する実証研究
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18K01877
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
柳 到亨 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00437451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 相鐵 関西大学, 商学部, 教授 (10281172)
横山 斉理 法政大学, 経営学部, 教授 (70461126)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 商業集積 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では東アジアの商業の相違点を社会的背景から究明することを目的している。とりわけ、商人家族の継承、社会関係資本、空間という視点から明らかにすることとなる。本年度においては、東アジアの商業集積に関するフィールド調査を実するとともに、概念間の因果関係を明らかにすることであった。 ここでは、研究実績として、本年度に実施された研究会の内容についてまとめる。 2020年6月13日、第1回東アジアの商業研究会(ZOOM開催)にて研究代表者の柳が東アジア調査データーの分析を行った。分析結果の具体的内容は、第1に、東アジアの小売商を多重に分析し、日本商業者の特徴を明らかにした。日本の商業者の特徴として、見えない資産を重視することや、商店経営において、商業集積と協働関係を形成することを通じて商店継続意欲がみえる点である。第2に、日本の商業の特徴を考慮する上で、日本の商業集積がなぜ同業種の商店街が形成したのかについての問題提起ができた点である。中国、韓国では同業種中心に形成される傾向がある。それは広域から顧客を集めるためでもある。第3に、日本商業の地域性についてである。老舗商店が多いこと、日本商業集積は地域の神社やお寺との関連で誕生していることは注目すべきである。第4に、東アジア諸国での商店街形成政策の特徴として、その取り組みの具体的事例やその効果について問題意識を共有できた。 第2回東アジアの商業研究会は、2020年9月13日関西大学梅田キャンパスにて石原武政先生の講演会を重ね、開催された。石原先生は「日本の商業集積(商店街や公設歴史など)の形成歴史」に関する講演会では、商店街と市場、公設小売市場の誕生と成長、商店街政策等について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍である本年度に研究計画であった東アジア商業集積のフィールド調査が実施できなかったため、やや遅れていると言える。ただし、この状況のなか、東アジアの商業集積を議論する学術研究会を2回開催し、学術専門家を招待し、いろんな情報交換を行ったことが大きな収穫でもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施できなかった課題は以下の通りである。 一つ目は、事業継承、人的ネットワーク、商業政策の移転に関する定性調査を実施する。2021年度末に実行し、データベースを構築する。 二つ目は、事業継承に関する現状と因果分析を商業経営実態と関連づけ、その結果を論文としてまとめ、刊行する。2021年度秋を目処に刊行する予定である。 三つ目は、本研究の主な研究対象は東アジア諸国の商業集積であり、現状の国内外の情勢を考慮すると海外調査の実施は厳しい。問題が生じた場合は、研究代表者と研究分担者が遠隔会議等を通じて円滑なコミュニケーションを図るとともに、適宜経験豊富な専門家のアドバイスを仰ぐことにしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、海外調査が実行できなかったためである。 次年度は東アジアの商業集積の現地調査を行う予定である。
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