2018 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルマーケティングにおける寄付獲得競争と社会規範の形成に関する研究
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18K01878
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日高 優一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90550335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ソーシャルマーケティング / マクロマーケティング / 社会規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、継続的な寄付者の獲得を巡るマーケティング競争が、新しい社会規範の形成にどのように寄与するのか明らかにすることである。特に、ソーシャルマーケティング研究は、伝統的に単発的なソーシャル・キャンペーンの成果を中心に議論してきたが、継続的な成果の捕捉や、個別の活動を通じたマクロレベルでの社会規範の形成過程を捉える社会構築的視点の必要性が指摘されてきた。本研究は、このような研究潮流の中で、関係性概念に注目し、短期的ではなく継続的な成果を捉えると同時に、各活動の模倣と差異化、これらの活動と制度改定との関係など、社会規範の構築に至るプロセスを捉える社会構築的視点を導入して同研究の理論拡張を試みる。具体的には、これまでの筆者の研究蓄積を手がかりとしながら、特にソーシャルマーケティング研究やマクロマーケティング研究の視点から、これらの課題に関する考察を進めることを企図している。伝統的に交換概念に基づき理論構築が進められてきたソーシャルマーケティング研究に対して関係性概念に注目してアプローチすることで、単発的な成果の捕捉に留まらない理論の構築を企図する。 本研究の初年度だった本年度は、ソーシャルマーケティング研究やマクロマーケティング分野を中心に文献展望の深化を図るとともに、これまでの筆者の研究蓄積をもとに学会発表および査読誌への投稿(掲載済)を進め、今後の研究の分析視角の先鋭化を図った。本研究の次年度以降の礎を築くことができたという点で、研究は概ね順調に進んでいるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の項でも記した通り、本研究の初年度で、これまでの筆者の研究蓄積を基にしながら今後の研究の方向性や分析視角に関する手がかりを学会発表や査読誌への掲載で得ることができた。これらの成果は、本研究の次年度以降の研究の礎を築くことができたという点で、概ね順調に進んでいると考えている。これまでの蓄積も手がかりとしながら、更なる研究の可能性の検討も視野に、研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは本研究の初年度で得られた研究の方向性や分析枠組みを手がかりに、理論的視角の更なる先鋭化や仮説検証の手続きを進めていく。これらの成果は、まとまり次第その都度査読誌への投稿や学会発表を通じて公表するとともに、理論的対話を通じて枠組みの精緻化を図る。
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Causes of Carryover |
本年度途中に、前倒し請求をさせて頂いた。これは、本年度当初の想定以上に研究成果報告の機会を得たことにより研究年度後半に研究資金がショートすることを避けるための念のための措置だった。この措置により、結果として研究資金がショートすることは避けられた。したがって、本年度予算の繰り越しは本研究が遅れていることを意味するものではない。また、実質的に使用した金額は当初使用計画額と概ね一致した金額であり、翌年度も当初計画通りに使用する計画である。
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Research Products
(6 results)