2019 Fiscal Year Research-status Report
ソーシャルマーケティングにおける寄付獲得競争と社会規範の形成に関する研究
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18K01878
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
日高 優一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (90550335)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロマーケティング / ソーシャルマーケティング / 社会規範 / 消費文化理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、継続的な寄付者の獲得を巡るマーケティング競争が、新しい社会規範の形成にどのように寄与するのか明らかにする。特に、ソーシャルマーケティング研究は、伝統的に単発的なソーシャル・キャンペーンの成果を中心に議論してきたが、継続的な成果の捕捉や、個別の活動を通じたマクロレベルでの社会規範の形成過程を捉える社会構築的視点の必要性が指摘されてきた。本研究は、このような研究潮流の中で、短期的ではなく継続的な成果を捉えると同時に、各活動の模倣と差異化、これらの活動と制度改定との関係など、社会規範の構築に至るプロセスを捉える視点を導入して理論拡張を試みるものである。 本年度は、後述するように新型コロナウイルスの影響を若干うけたこともあり、論文の公表や研究発表などのかたちある成果を出すことが一部できなかったが、昨年度に引き続きソーシャルマーケティング研究やマクロマーケティング分野を中心に文献展望の深化を図るとともに、これまでの理論的考察に基づく探索的な定性的調査を一部進めることができた。また、文献展望の領域を周辺分野にも拡張して今後の研究の分析視角の発展的先鋭化を図ることができた。探索的な定性的調査の結果については、論文として公表することを近々の目標として来年度以降取り組む。周辺分野も含めた理論的検討については、特に市場の社会規範の形成について、Giesler(2008)などの文献を手がかりに来年度以降も引き続き検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の項でも記した通り、初年度に進めてきた今後の研究の方向性や分析視角に関する手がかりに関する検討を引き継ぎながら、周辺分野にも文献展望の視角を拡張することで、更なる研究の方向性に関する基礎を構築できた。一部で、新型コロナウイルス拡張の影響により、予定していた研究発表の機会が延期になるなど影響を受けているが、次年度以降の研究の発展的可能性を含めて模索できたという点で、概ね順調に進んでいると考えてい る。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに得られた研究の方向性や分析枠組みを手がかりに、理論的視角の更なる先鋭化や仮説検証の手続きを進めていく。また、本研究から得られた発展的展開の可能性についても、併せて引き続き検討していく。これらの成果は、まとまり次第査読誌への投稿や学会発表を通じて公表する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス拡大の影響により、一部で予定していた研究会が中止になるなど影響を受けた。そのため、出張旅費等の拠出が数回分なくなったことが主な理由として挙げられる。また、研究計画に関しても一部で年度をまたいでのズレが生じていることも理由として挙げられるが、研究計画自体が大幅な修正を余儀なくされているわけではない。これらの理由は挙げられるものの、次年度使用額が生じているのは、むしろ効率的な資金運用を図った結果と考えている。なお、本年度拠出を予定していた費用については、本年度実施予定だった研究を行うための費用として拠出すると共に、更なる効率的運用を図りながら、学会等での研究成果の報告などの費用として拠出していく計画である。
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