2021 Fiscal Year Research-status Report
消費様式の変化がブランド・ロイヤルティにおよぼす影響の検討
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18K01885
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
久保田 進彦 青山学院大学, 経営学部, 教授 (10340184)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リキッド消費 / 消費の流動化 / 測定 / ブランド / ロイヤルティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、大きく2つの活動を行なった。第1に、リキッド消費の測定尺度を開発した。「消費の流動性尺度」と命名されたこの尺度は、ある個人のリキッド消費傾向を測定するためのものであり、ボラティリティ、所有しない消費、経験志向、省力化志向の4次元(12項目)から構成されている。この尺度はリキッド消費の基本的特徴である、短命性、アクセスベース、脱物質、省力化(Bardhi & Eckhardt 2017; 久保田 2020)をベースに開発されている。したがって非常にオーソドックスな内容であり、幅広く使える一般性の高い尺度だといえる。 さらに上述した「消費の流動性尺度」に、社会全体の変化をどう感じているかや、生活全般が変化しているかなど、消費の流動性の背後に存在する要素を加えた、「拡張された消費の流動性尺度」も開発した。この拡張された尺度は、リキッド消費そのものではないが関連性の高い要素を組み込むことで、ある個人の消費の流動的傾向をより多面的に捉えようと試みたものであり、実務的な活用が期待されるものである。 第2に、この尺度をもちいて、一般消費者のリキッド消費傾向を分析した。その結果、従来型の消費者から構成されるコンベンショナル・クラスター、将来に対して不安を抱いているプレカリティ・クラスター、そして消費の流動化傾向が顕著なリキッド・クラスターが抽出された。リキッド・クラスターについて分析を行ったところ、従来型の消費者とは異なる興味深い特徴が複数発見された。 リキッド消費研究は概念的なものや定性的なものが多く、測定尺度が存在しなかった。そうした状況のなか、個々人のリキッド消費傾向の数値化を可能とする尺度を開発できたことは、大変有益であったと考えられる。なおこれらの成果は『青山経営論集』に論文として投稿し、第56巻4号に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リキッド消費尺度が完成したことは、本年度の非常に大きな成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した測定尺度を用いて、一般の消費行動について分析を行っていく予定である。具体的には研究者自身による調査だけでなく、企業と連携した調査を行うことで、より現実性の高い分析を目指していく。そのなかで、本課題のメインテーマであるリキッド消費とブランド・ロイヤルティの関係について明らかにしていくつもりである。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりヒアリングなどの面会がすべてオンラインになり、旅費を使用することがなくなりました。また本研究のための消費者調査に調査会社が全面的に協力してくださることとなり、調査費用の負担もなくなりました。残りました予算は、本年度あらたに行う調査などに使用する予定です。
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Research Products
(2 results)