2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01893
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
横山 斉理 法政大学, 経営学部, 教授 (70461126)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 伸一 青山学院大学, 経営学部, 教授 (70368554)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | fsQCA / 小売競争 / 顧客満足 / 小売ミックス / 因果非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、国内学会で1件、国際会議で1件の研究成果の発信を行い、2編の研究論文を発行した。 国内学会では、複数の店舗を使い分ける消費者の顧客満足がどこから生じるのかを明らかにする分析フレームワーク、分析手法、分析結果をポスター発表することで、議論した研究者から研究推進に資する重要な示唆を得ることができた。国際会議は、2020年3月にアメリカで開催予定であったことから中止となりプロシーディングスへの予稿の掲載のみとなった。そのため、ここで期待したさまざまな視点からの批判やアドバイスはまだ得ることができていない。 研究論文では、複数の因果経路と因果関係の非対称性を想定した分析手法、ファジィ集合を用いた質的比較分析(fsQCA: fuzzy-set Qualitative Comparative Analysis)を研究に導入する意義を検討した。近年の隣接領域の研究において導入が進んでいるこの手法の研究動向を整理し、その認識論的背景がどのように隣接研究領域で扱われているかを検討したことで、議論の余地は残るものの、本研究の最終的な成果を提示する際の指針を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、資料整理および文献研究がある程度進んだ段階で、関連プレイヤー (小売業者を中心に、卸売業者、生産者、消費者)に対して探索的な定性調査を行い、その上で、特定地域を選定し、地域多様性を再生産する小売競争の全体構造について詳細な分析を行う予定であった。 しかしながら、2020年2月と3月に予定されていた調査と国際会議での研究報告がキャンセルされたため、ここでの研究成果を学会で発表しさまざまな視点からの批判やアドバイスを得る機会を得ることができなかった。代替方法として、海外から招聘した研究者と複数回の研究会を実施するなどして研究を進めようと試みたが、現状はそれで十分とは言い難い状況である。それに加えて、すでに実施したパイロット調査の分析結果を発表する場も十分に得られたとは言い難く、これらの理由により研究の進捗状況に遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、2019年度に延期または中止となった国際会議に提出したプロシーディングスを改訂しつつ、当初の計画通り、最終的な定量分析に向けた検討を進める。ただし、すでに実施しているパイロット調査のデータ分析においていくつか検討の余地が残っているため、まずは現時点での分析結果とそこから得られる示唆を国内外の学会において発表し、さまざまな意見を取り入れながら分析フレームワークのリバイズを行う。その後、当初計画において最終年度に実施する予定であった定量調査を実施する。ただし、計画当初とは社会の情勢が異なることから、調査の前提、調査対象、収集するデータ、調査の実施方法に変更が必要となる可能性が高いため、まずは調査デザインを詳細に再吟味する必要がある。 上記の方策を実行するにあたって、共同研究者とは定期的な打ち合わせや議論を行ってはいるものの、国内外の学会での研究成果の発信とさまざまな批判やアドバイス等の意見の収集が当初計画どおりには運ばない可能性もあるため(たとえば、学会の中止や実施形態の変更による参加者や発表枠の減少など)、その場合は計画を柔軟に変更しつつ研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、以下の2つである。 ひとつは、2020年3月に開催予定であった国際会議(ACRA2020)が中止となったことに伴い、旅費および学会参加費の拠出がなくなったことに拠る。もうひとつは、2020年2月から3月にかけて行う予定であった複数の国内出張が中止されたことである。
|