2019 Fiscal Year Research-status Report
インターナル・マーケティングの促進要件に関する研究
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18K01894
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 達也 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (40321195)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マーケティング / PSJ / NPS / 顧客推奨度 / インターナルマーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における顧客の推奨度と企業業績に結びつく関係を明らかにする分析のための基礎理論として、Response style(回答スタイル)に関する先行研究とE. MeyerのCulture Mapをベース据えることにした。その上で、顧客の満足度と推奨度を測定するための指標として米国企業の売上上位500社(Fortune 500)の35%が利用しているNet Promoter Scoreを用い、米国企業を対象とした分析結果と日本企業を対象にした独自の調査に基づく分析結果を比較した。 これまでの中間的な成果としては、米国でライクヘルドらが開発したNPSは日本企業の多くで近年採用され、それらの企業の戦略的意思決定のための情報として用いられることが急速に増加している一方で、日本人消費者および対象企業にはその指標の適合度が低いことが明らかになった。理由としては、日本人の他国人に比べての回答傾向の違いが大きいと考えられた。Chen, Lee and Stevenson (1995)、Tazaki and Shin (2017)、Harzing (20016) は日本人は他国人に対してMRSと呼ばれるmid-point responseを選ぶ割合が多く、またARSと呼ばれるAcquiescene responseを示す割合が低いことを指摘している。また Meyer (2014)は調査の結果から日本人と米国人ではcommunicating, Evaluating, Disagreeingといった文化的要素で多大な差異が見られることが証明されている。 これらの理論的、実証的な研究結果を統合する形で、日本企業と消費者を対象とするあらたな分析の枠組みとそのモデルについて2019年10月に国際学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に引き続き、顧客の推奨度と企業業績の関係を明らかにするための実証調査を継続し、新規対象企業分を対象として分析およびモデル構築のためのデータをさらに充実させた。2019年10月の国際学会において中間報告を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
対象企業の業種間のバラツキを考慮しながらモデル構築に向けてさらに協力企業の分析対象を広げていき、最終的に独自性と信頼性、妥当性を担保できる分析モデルの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
調査対象としてアプローチしていたなかの数社が、顧客関連データ取扱に関する社内事情から当初予定していた調査に応じることができず、その実査が繰り延べられたため。新年度で改めて調整、実施する予定である。
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