2018 Fiscal Year Research-status Report
金融リテラシー水準を考慮したファイナンシャル・マーケティング理論の構築
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18K01898
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山下 貴子 同志社大学, ビジネス研究科, 教授 (70309491)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金融マーケティング / フィンテック / 電子マネー / キャッシュレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、次世代金融サービスの顧客化階層分析を実施し、金融サービスの「試用率」「常用率」へ顧客化階層推移率がどの程度影響を与えているのか分析を行い、ワーキングペーパーにまとめた。 次世代金融サービスの顧客化階層分析を実施し、金融サービスの「試用率」「常用率」へ顧客化階層推移率がどの程度影響を与えているのか、各々を被説明変数とし各顧客化階層推移率を説明変数候補とする線形回帰モデルを構築し推定を行った。次世代金融サービスについては不認知⇒認知⇒理解の推移だけでは顧客化ができず、理解⇒試用の推移率がボトルネックであることが示された。顧客化階層は自動的にはつながらず、理解⇒試用⇒常用の関連が問題になる。重要なのは、顧客化階層において新たな金融サービスをどのような顧客接点から「試用」し「常用」化するのかという点である。試用者にいかに反復的に利用してもらえるのかは、その金融サービスの「経験価値」に依存する。金融サービスの品質は経験価値からは切り離すことができず、使用価値から得られる満足度は常用化につながる。経験価値の構成は、サービスへの加入の容易さ、利用のしやすさ、常用することの便益など様々な要素からなる。今後の研究課題としては、金融リテラシー別の顧客化戦略など消費者インサイトに切り込み、さらに詳細な分析を実施し、次世代金融マーケティング戦略の検討を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代金融サービスの進展が早く、先行研究も次々に発表される中でレビューを行いつつ、日経NEEDS金融調査のデータ分出来を引き続き行う。一昨年度は1本のペーパーを査読付き雑誌に掲載ができたが、昨年度はワーキングペーパーはまとめたものの公刊にいたる論文はなく、引き続き、掲載を目指して研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き金融リテラシーと金融資産選択行動について、研究計画に従い実施する。金融庁や日経NEEDS調査の個票データをもとに、個々の消費者セグメントに合致した金融マーケティングの施策や金融リテラシー教育のありかたについて、米国・英国などの投資先進国の事例をもとに検討を行う。 成果については、2019年度中に1本は査読付き論文で公開を目指す。
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