2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01899
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 満梨 立命館大学, 経営学部, 准教授 (30552278)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エフェクチュエーション / 意思決定 / 不確実性 / マーケター / 新市場創造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不確実性の高い市場環境に直面したマーケターが、いかに課題解決を行うのかを分析し、近年アントレプレナーシップ研究を中心に注目されている「エフェクチュエーション」(Sarasvathy 2001, 2008)の論理のマーケティング課題に対する適用可能性を明らかにすることにある。 具体的には、経験あるマーケターを対象に、新市場創造プロセスにおける意思決定課題から構成される実験を行い、どのように対処するのかを、シンクアラウド法による発話プロトコルデータとして収集・分析を行う。 初年度の2018年度には、8名の経験あるマーケターに意思決定実験の協力をしていただき、収集したデータを整理・分析した。そうした成果は、マーケティング学会のカンファレンスで発表し、フィードバックを得ながら分析を進めている。 また、10月26日には、提唱者であるヴァージニア大学ダーデンスクールのSaras Sarasvathy教授を招聘してのワークショップを立命館大学大阪いばらきキャンパスで開催し、本研究の内容についてもSarasvathy教授との打ち合わせを行った。 さらに、定期的に企業の新規事業創出の現場に関わっている実務者の方と、研究会などの形で情報交換を行う機会を持っており、経験に即して妥当性の高い形で、研究を進めることが可能になっている。 引き続き、エキスパートの・マーケターの実践知を明らかにすることによって、第一に、従来のマーケティング研究を補完する理論開発に寄与すること、第二に、起業家の論理としてのエフェクチュエーションを、大企業におけるマーケティングや新規事業開発にも有用な知識として精緻化すること、を目指していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、初年度から経験あるマーケターを対象に、新市場創造プロセスにおける意思決定課題から構成される実験を実施し、その結果の分析を進めることができた。ただし、学務負担が申請時の予定よりも大きい年度であったため、出張を行うことがほとんどできず、予定していたEffectuation Conference(ヴァージニア大学ダーデンスクールで開催)への参加は実現できなかった。また、調査対象であるマーケターも東京勤務の方が多く、当初の計画では20名分の実施を計画し費用を計上していたが、予定の数に至らなかった。 ただし、海外学会に参加できなかった代わりに、エフェクチュエーションの理論の提唱者であるSaras Sarasvathy教授が来日中の10月26日に、立命館大学大阪いばらきキャンパスにてエフェクチュエーションワークショップを開催し、本研究の内容についても打ち合わせを行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
経験あるマーケターを対象に、新市場創造プロセスにおける意思決定課題から構成される実験を行い、どのように対処するのかを、シンクアラウド法による発話プロトコルデータとして収集・分析を行う。昨年度、十分な調査の時間が取れなかった分、今年度のデータ収集に力を入れたいと考える。 分析においては、とりわけコーゼーション(伝統的なマーケティング・マネジメント)とエフェクチュエーションとが、どのような関係にあるのかに関する検討を中心に、伝統的なマーケティングに対するエフェクチュエーションの位置付け、起業家の論理としてのエフェクチュエーションがマーケティングや新規事業開発にどのような意味で有用であるのか、の理解を深めていきたいと考える。 2019年度は、昨年度参加できなかったEffectuation Conference(ベルリンで開催予定)での発表を計画している。さらに、提唱者のSarasvathy教授も訪問し、研究打ち合わせを継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
2018年度、本務校における学務負担が大きく、当初計画していたよりも出張を実施することが難しい状況になった。そのため、当初の計画で予定していたマーケターに対する意思決定実験の実施件数が、計画よりも少なくなってしまったことが差額が生じた大きな理由である。できなかった調査は、今年度以降に実施することとし、繰越させていただいた差額を調査費として、計画どおり研究を進めていく。
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Research Products
(3 results)