2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01899
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
吉田 満梨 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30552278)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | エフェクチュエーション / 新市場創造 / 不確実性 / イントラプレナー / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不確実性の高い市場環境に直面したマーケターが、いかに課題解決を行うのかを分析し、近年アントレプレナーシップ研究を中心に注目されている「エフェクチュエーション」(Sarasvathy 2001, 2008)の論理のマーケティング課題に対する適用可能性を明らかにすることにある。2022年度には、調査計画の見直しに基づき、価値創造のマーケティング実践におけるエフェクチュエーションの活用について、事例研究ならびに企業に対するサーベイ調査の設計を実施した。その成果は、マーケティング学会のカンファレンス等の学会で研究報告を行ったことに加えて、『一橋ビジネスレビュー』誌上にて「エフェクチュエーションによる新市場創造」というタイトルでの連載を行い、合計4本の論文を掲載するに至った。 第1回では、新市場創造という問題の困難性とエフェクチュエーションの適用可能性について、コーゼーションと呼ばれる従来の予測合理的なアプローチとの違いと、市場機会の創造プロセスに関して、理論的な整理を行うことで考察を行った。その後、第2~4回では、新たな市場機会が創造される3つのパターンのうち、新しい製品・サービス(a)、起業家による機会認識(b)、対象に価値を見出す人々(c)のそれぞれが作り出されることによる市場創造のパターンを対象として、事例研究と理論的考察を行った。 また研究を進める過程で、医療における意思決定支援の研究を行う研究者との共同研究が創発し、日本生命倫理学会での学会発表を行ったほか、学会誌への論文投稿も実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
過年度にも、新型コロナウイルスの影響により、調査方法の見直しを迫られることとなったが、その影響を受けて、最終的に実施予定である企業を対象としたサーベイ調査とそのデータ分析を次年度に持ち越すこととなった。最終年度には確実に完了予定であり、研究成果を学会発表や論文といった形でまとめていくことにも注力したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度として、見直した調査計画の実施と成果発表を行う。サーベイ調査による分析結果を論文としてまとめるだけでなく、これまでの研究期間を通じて実施してきた、価値創造・新市場創造のマーケティング実践におけるエフェクチュエーションの活用に関する事例研究、意思決定実験のプロトコル分析の成果を含めて、書籍執筆にも着手する予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により調査計画の見直しが発生した影響を受け、年度内に事業を完了することが困難となったため、次年度に実施を延長させていただくこととなった。
|