2020 Fiscal Year Research-status Report
A Time and Income Allocation Model for Consumer's Cross Media Usage Based on Statistical Data
Project/Area Number |
18K01902
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 孝子 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80272053)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | メディア接触 / 時間消費行動 / 行動変容 / メディア価値観 / 生活価値観 / モデル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は2019年度末に顕在化した新型コロナ感染症の影響を受け、1年間やむなく研究活動そのものを休止した。その理由は、本研究の課題である消費者のメディア利用時間や生活行動習慣そのものが、このパンデミックに伴う行動変容やリモートワークへの移行で劇的な影響を受けているからである。2020年度1年にわたり、経済的な混乱は大きく、しかもその混乱は2021年も続いている。筆者が構築しようとしているモデルは生活者の時間・所得配分を要素とする。感染症流行による緊急事態宣言とリモートワークへの移行は、生活者の移動制約を伴った行動変容を起こし、その消費活動も直撃した。さらに遠隔会議やデジタル機器の普及がメディア接触行動と時間消費を大きく変えたと思われる。このような状況では、たとえポストコロナを仮定した場合でも、もはや従来のモデルの前提が変わっている可能性が高い。以上のような理由からやむなく1年間の本研究課題の休止を決めた。 一方で、2020年度は変化を把握するため2020年11月に行われた生活者総合調査データを用い、感染症のもたらした生活価値観、メディア接触の影響の分析を続けている。現時点で、メディア利用変化で減少傾向にあったテレビ視聴時間はむしろ増加したことがわかってきた。生活習慣そのものが新型コロナ感染症の影響で大きく変わり、在宅時間が伸びたことが影響していると考えられる。ただしネットを含むメディアの接触や時間消費、情報との信頼感の違いなどは、まだ分析を行っているところである。2021年度は、こうした分析を踏まえモデル構築に引き続き取り組む予定である。また2019年度までの知見をまとめ、オンライン開催となった国際会議The 24th World Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informatics (WMSCI 2020年9月、査読付)で報告を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型感染症による生活時間大別行動の変化が激しく、これまでのモデル構築は難しいと考え研究課題を1年間中断した。ただし2019年度の生活者総合調査データと2020年11月に行われた同データの比較検討を行った。これにより新型感染症による行動変容やメディア接触の影響を分析し、モデルの一般性を検証しようと試みている。しかし経済状況、就労状況、移動の制限などにより、日常の生活行動そのものが大きな影響を受けている。モデル構築に引き続き取り組みたいが感染症がどのような形で推移するかは明確ではなく、時間消費行動、生活価値観も大きな変更を迫られることは不可避である。モデル構築を申請当初の前提の延長で行うことは、モデルの実効性が不確かになるため、現実的とは言えない。従って申請当初の計画のまま本研究課題を進められることは、困難と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
モデル構築の基本方針として、時間消費行動とメディア利用を要素とする枠組みは変わらない。しかしモデルで用いるメディア接触時間、収入や日常の生活時間大別行動に与えた影響がどの程度か、データを用いて定量的に明らかにする必要がある。2021年度中はこれらの分析を2019年データと2020年データの比較から明らかにする必要がある。定量的なデータ分析を無視したモデル構築は、モデルの信頼性、実効性の確保から不適切である。本研究課題は当初の予定通りに遂行することは、困難かもしれないが、未曾有のパンデミックにかかわる価値観の変動やメディア接触のかかわりを精査し、現状だからこそ可能な知見を得たい、と考えている。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による申請者が構築するモデルが前提とする、生活者の社会行動変容が起こり、研究を中断した。これが次年度使用が生じた原因である。2021年度は、モデル構築とデータ分析のため、高性能計算機および記憶装置を購入する予定である。また2020年度は中止になった国内学会、研究会もオンライン開催が予定されているので、成果報告のための参加費、学会費を支出する予定である。
|