2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K01908
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
角ヶ谷 典幸 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (80267921)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 日本的会計制度 / IFRS / グローバル化 / ローカル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本的会計制度がグローバライゼーションとローカライゼーションを同時に含む相互浸透の過程として形成されてきたという仮説を、会計制度改革の歴史、会計人の専門的判断、企業会計審議会の審議過程等を多角的に分析する作業を通じて検証し、新たな知見を提供することにある。本年度は主に以下の事柄を明らかにした。 日本基準は収益費用観(歴史的原価会計)をより重視しているのに対して、国際財務報告基準(IFRS)は資産負債観(公正価値会計)をより重視しているといわれることがあるが、両概念は必ずしも相互排他的な関係にはないことを明らかにした。具体的には、日本基準においても、IFRSにおいても、ビジネスモデルの成功度を事後的に測る尺度として財務報告(会計測定)が捉えられていること、いかなるビジネスモデルであっても、その最終目的は歴史的原価(会計)と公正価値(会計)との二者択一ではなく、利益の実現(純利益)であることを明らかにした。 また、1920年代以降の米国における会計制度の変遷を題材にして、歴史的原価会計、公正価値会計および現在価値会計の相互関係を整理した。その結果、これらの会計の体系は必ずしも相互排他的な関係にあるわけではなく、歴史的原価会計の枠組みのなかで、公正価値会計や現在価値会計が部分的に適用されていることを明らかにした。ただし、リサイクリング処理(その他の包括利益から当期純利益への振替処理)が要請されない会計基準が公表されたり、のれんに対して規則的償却がなされなかったりするケースが徐々に増加し、歴史的原価会計に揺らぎがみられることも指摘した。 その他、日本的会計制度がグローバライゼーションとローカライゼーションの影響をどのように受けてきたのか、会計ビッグバンの影響をいかに緩和させてきたのかなどについて、学会報告を行った(いずれも論文として公表予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、雑誌論文を3編公表し、学会報告等を4回行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、日本的会計制度がグローバライゼーションとローカライゼーションを同時に含む相互浸透の過程として形成されてきたという仮説を検証する予定である。 同時に、研究成果を、内外の学会で報告する予定である。
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Causes of Carryover |
全体的な研究計画に変更はないものの、研究成果報告(1回分)を次年度に行う予定のため。
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Research Products
(8 results)