2021 Fiscal Year Research-status Report
経営者報酬とコーポレートガバナンスに対する会計基準および税制の影響に関する研究
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18K01909
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| Research Institution | Kobe University |
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Principal Investigator |
鈴木 一水 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (90235937)
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2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 税務計画（タックスプランニング） / コーポレートガバナンス / 経営者報酬 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
企業による経営者報酬体系の設計を、企業のタックスプランニングにおける税コスト、エージェンシーコスト、財務報告コスト、評判コスト、政治コストなどの複数のコストの調整過程と位置づけ、その過程を解明することを目的とする本研究において、近年の会社法制、開示制度、税制、コーポレートガバナンス・コードなどの改正によってもたらされた企業の組織や行動の変革は、分析に利用するデータと分析方法の見直しあるいは補正の必要性を示唆する。そこで、本年度は、このような制度環境の変化の本研究に対する影響を明らかにするために、次の2つの研究を実施した。
第1に、近年の会社法制その他の施策を受けての上場会社の経営者報酬に関する変化の実態を調査した。調査の方法としては、2021年3月期以降さらに拡充された上場会社の開示情報から、株式報酬などのインセンティブ報酬の採用状況、採用されている業績指標、報酬の決定方法および算定方法、報酬の税務上の損金算入可能性などのデータを収集し、データベースを作成した。この調査の結果、2021年3月期以降、日本の上場会社では、報酬決定の過程・方法の透明性が進みつつあること、株式報酬が経営者報酬として大幅に採用されるようになったこと、採用される株式報酬制度も多種にわたること、業績連動報酬における業績指標も各社固有のものを含めて多岐にわたること、採用されている業績指標がどの時点のものかについて不明な会社が多いこと、報酬の税務上の取扱いが不明な会社が依然として多いこと、などがわかった。
第２に、税制が企業の経営者報酬体系の設計に与える影響を分析するための枠組みとその限界を提示した。経営者報酬の税務上の取扱いは、企業の負担する税コストのみならず、財務報告を通じて企業の評判や政治の対応などにも影響する。こうした多角的な影響を識別することの困難さを改善することの必要性を指摘した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次の理由から、進捗状況はやや遅れている。
第１に、近年、わが国の会社法制、開示制度、税制、コーポレートガバナンス・コードなどの経営者報酬に関する規制は頻繁に改正されており、特に2021年3月期以降、日本の上場会社の経営者報酬に関する開示事項が拡充され、分析に利用可能なデータの種類が増大した。そのため、より詳細な分析を行うために、新たに入手可能になったデータを付け加えたデータベースを作り直す必要が生じ、そのための時間がかかった。
第２に、新型コロナ感染症拡大により、国内外の学会がオンライン開催となり、対面方式で得られる充実した討論の機会が大幅に縮小された。
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| Strategy for Future Research Activity |
新たに拡充された開示制度によって得られた上場会社の経営者報酬に関するデータベースを作成できたので、これを利用して、企業の規模、業績、機関設計、役員構成といった企業特性と、企業の採用する経営者報酬体系との関係を解明する予定である。
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| Causes of Carryover |
予定した学会がオンライン開催となり、交通費が不要となったため。学会が対面で開催されるようになれば、学会参加のための交通費として使用する。さらに、分析に必要な資料の収集にも利用する予定である。
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Research Products
(1 results)
