2018 Fiscal Year Research-status Report
The effect of product market competition on the usefulness of accounting information
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18K01910
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北川 教央 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80509844)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 製品市場の競争 / 会計情報 / 利益の品質 / 業種 / 情報波及効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、製品市場の競争が会計情報の有用性に及ぼす影響を検証するに先立ち、以下の2点について考察と分析を行った。 まず第1に、業種分類の定義が会計研究に及ぼす影響について分析を行った。財務会計の実証研究を行う際、採用しうる業種分類の候補としては、(1)日経業種分類(大分類、中分類、小分類)、(2)東証業種分類(大分類、中分類)、(3)日本標準産業分類(大分類、中分類、小分類)などが挙げられる。また、日本経済新聞社の『NEEDS-Financial QUEST』から業種データを入手する場合には、(1)企業属性データと(2)銘柄属性データのうちいずれを採用するかによって、業種変更企業の業種分類が異なりうる。そこで本稿では、このような業種分類の定義の違いが会計研究、とくに会計情報の業種内波及効果に関する分析結果に与える影響について分析を行った。その結果、会計情報の業種内波及効果は、日経業種分類小分類と、日本標準産業分類中分類および小分類を採用した場合のみ観察されることが明らかとなった。このことは、製品市場の競争が会計情報の有用性に及ぼす影響を検証する際には、業種分類の定義に注意すべきことを示唆している。 第2に、製品市場の競争度の測定方法が、会計情報の業種内波及効果に及ぼす影響について分析を行った。製品市場の競争度は、(1)既存の同業他社との競争と、(2)潜在的な新規参入企業との競争という2つの観点から測定することができる。本稿では、9つの変数を用いた主成分分析によって、上記2つの尺度を算定した。そのうえで、会計情報の業種内波及効果は、前者の競争が激しい業種では弱まるが、後者の競争が激しい業種では弱まるとはいえないことが明らかとなった。このことは、製品市場の競争が会計情報の有用性に及ぼす影響を検証する際には、製品市場の競争を多面的にとらえる必要があることを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究課題は、業種や製品市場の競争度に関する概念および代理変数の整理を行うことにあったが、その課題は2本の論文を刊行することによってある程度遂行できたものと考えている。このため、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、本研究に重要な影響を及ぼしうる業種分類や競争度の定義についての理解を深めることができた。2019年以降では、こうした知見に基づき、製品市場の競争が会計情報の有用性に与える影響について検証を進める。具体的には、(1)製品市場の競争が会計利益の品質に与える影響や、(2)製品市場の競争が投資家による会計情報の利用に及ぼす影響について考察を進める予定である。研究計画は当初の予定通りであり、とくに変更はない。
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Causes of Carryover |
当初の計画通りに使用したが、消耗品の販売価格等の関係で若干の誤差が生じた。金額は僅少であることから、今後の使用計画に影響が生じることはない。
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Research Products
(3 results)