2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01911
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
丸田 起大 九州大学, 経済学研究院, 教授 (70325588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 管理会計 / マネジメント・コントロール / 原価計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、まず病院での間接費配賦方法の設計に関与し、アクションリサーチを進めた。病院における患者別の収益性の把握にあたって、固定間接費の配賦基準として、従来は在院日数のように応益主義的にみて合理性のない基準が採用されていたが、赤字の患者が存在するように見せてしまう問題が生じていたため、収益から変動費を控除した患者別の限界利益額を配賦基準とする応能主義的な限界利益比例モデルを開発した。実際の病院のデータの提供を受けてシミュレーションをおこない、その結果を経営者と現場の医療従事者に提示してインタビュー調査をおこなったところ、配賦システムの変更により、従来よりもコストデータの納得性が高まったこと、赤字に見える患者がいなくなることにより、患者の切り捨てのような意思決定への誤導を防げる可能性が高まることを確かめた。当該研究成果は、査読付き学会誌に掲載された。またアメーバ経営のグローバル展開に関する事例研究を進めた。中国現地拠点での運用を続けている株式会社カズマをリサーチサイトとして、中国現地の経営会議での参与観察や中国人管理者へのインタビュー調査をおこなったところ、採算意識・経営者意識の向上やコミュニケーションの活性化をもたらしていたこと、アメーバ経営の業績と連動させた報酬制度も帰属意識やモチベーションの向上に機能していたことを明らかにした。さらにCSRマネジメント・コントロールの導入プロセスに関する事例研究にも着手できた。グローバル企業であるコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社をリサーチサイトとして、内部資料の入手やインタビュー調査を実施したところ、米国本社のグローバルCSR目標を日本拠点のローカルCSR目標として内部化していくプロセス、業界団体や競合企業との戦略的連携など外部資源の活用、CSR戦略浸透のためのフォーマル・コントロール・システムの整備などを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アメーバ経営とCSRマネジメント・コントロールの研究課題に関しては、リサーチサイトの確保が実現し、調査を実施できた。入手したデータの分析と論文の執筆に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
アメーバ経営のグローバル展開に関しては、論文執筆を進め、最終年度での公表を目指したい。CSRマネジメント・コントロールに関しては、コロナ感染問題が発生し、調査の継続の目途が立っていないが、入手した資料の分析を進めたい、遅れている原価企画の進化プロセスの研究課題については、最終年度に学会報告と論文発表を実現したい。
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