2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on the Effect of Artificial Intelligence on Management Accounting
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18K01921
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
谷守 正行 専修大学, 商学部, 教授 (90733824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | AI(人工知能) / 管理会計 / 意思決定会計 / 原価計算 / 予算管理 / 予測型経営 / フィードフォワード / 銀行管理会計 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下3点の研究を行った。1つは,2021年はじめに「原価計算へのAI適用研究―銀行ABC の課題解決の可能性―」(『専修商学論集』112: 97-108)をまとめ,それをもとに実務での検証を進めた。本研究では,銀行などのサービス業に適用される活動基準原価計算(Activity-Based Costing;ABC)の課題をAIの適用により解決できるかを実務的に検証したものであるが,実際にABCを運用する銀行の協力を得てアクション・リサーチを行うことができた。当該銀行からは,①担当者の異動リスクが低減される,②ケアレスミスを防ぐことができる,③大量データ処理を超高速に(AI原価計算は)疲れることなく処理するので,担当者の働き方改革に大きく貢献できたことなど3点の良好な評価が得られた。反対に,AI管理会計システムをメンテナンスできる人材の確保や教育の必要性が課題とされた。 2つ目は,これも2021年早々に整理した「AI予算管理に関する一考察─銀行における予測型経営の実現と課題─」(『会計学研究』47: 27-46)に基づいて,実際の銀行でアクション・リサーチを行った。本研究は,実務的な適用の多い管理会計の代表的な手法である予算管理にAIの適用可能性を研究したものであるが,アクション・リサーチではAIを適用することでフィードフォワード・ループが可能になり,将来の不確実性に十分耐えうる経営の実現が可能になることを明らかにすることができた。以上の2つのアクション・リサーチの結果については国内外の学会等で今後報告を行う予定である。 3点目は,ホリスティック・アプローチのキャパシティー推定型原価計算におけるAIの適用可能性について,2021年日本管理会計学会全国大会の統一論題『間接費配賦の再考』のなかで研究報告を行った。今後さらに広く研究成果を発信して評価を受ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の企業の協力を得て当該企業の持つビッグデータの活用を行うことができたおかげで,予定通り本研究を進めることができた。AIを適用する対象の管理会計についても,企業の協力を得て実際の業務上の課題部分を詳細かつ具体化をすることができた。そのため,効率的にシミュレーションを行うことができ,そのシミュレーション結果についても企業の実務的な目線から評価を行っていただくことできた。研究内容の充実化だけでなく,研究課題の進捗にも大いに効果があった。 また,AI管理会計のプロトタイプ・システムについては,大学院生らの協力を得て,都度ビッグデータの追加や更新を行い,モデルのバージョンアップを図ることができたので,予定通り研究を進捗することができた。ただし,国内外の学会やジャーナルを通じて適時最適かつ効果的に社会への還元を行うべく,各国の新型コロナ感染症への対応状況をみながら次年度のタイミングで発表を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,国内外の学会やジャーナルへ本研究の成果を発信し社会へ還元する。その評価を受けて,AI管理会計の理論とプロトタイプ・システム(ツール)のブラッシュアップを継続しつつ,最終的には本研究の成果をまとめ,論文をとりまとめる予定である。 同時に,すでにいくつか問い合わせのある官民の法人や企業の管理会計・原価計算・予算管理・意思決定に関する課題解決に,本研究「AI管理会計」の成果をもって積極的に社会への還元に貢献する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究成果の開示による社会貢献についてのみ,各国の新型コロナ感染症への対応状況を確認しながら,国内外の学会や研究会での発表をはじめとしてジャーナルへの寄稿や抜き刷りの送付など2022年度内に行う必要がある。
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