2021 Fiscal Year Annual Research Report
The efficient design of debt covenants in Japan
Project/Area Number |
18K01930
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 亮介 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (40549713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 財務制限条項 / コベナンツ / 抵触 / 債務契約 / 利益維持条項 / 純資産維持条項 / 報酬契約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,債務契約に付される,借り手企業の財務諸表ないし会計情報に依拠した「約束事・誓約」を表す財務制限条項の最適な組み合わせを明らかにするため,多面的に実証研究を行うことであった。 2021年度は,金融機関へ実施したアンケート調査をもとに分析した結果を掲載した論文(Kochiyama, T., R. Nakamura, and A. Shuto (2021) "How Do Bank Lenders Use Borrowers’ Financial Statements? Evidence from a Survey of Japanese Banks," CARF F-522.)を公表した。そこでは,日本における財務制限条項は借り手の財政困難時の交渉力の確保のために付与される傾向にあることを明らかにした。 また,財務制限条項でなぜ,経常利益がよく用いられるのかを検討した研究の報告を行った(中村亮介・河内山拓磨(2021)「日本企業の財務制限条項において会計利益が果たす役割」日本会計研究学会第80回全国大会,九州大学。)。その結果,経常利益の利用の際,他の条項と役割が重複しないよう配慮されていることを示した。そして,経常利益は他の条項(特にネガティブコベナンツ)が果たすべき役割を担う「集約的指標」として活用されている,と結論付けた。 さらに,債務契約とそれ以外の契約との関係を検討する論文を執筆した(中村亮介(2021)「日本企業の報酬契約のシフトと債務契約のデザイン」『會計』第200巻第3号,68-80頁。)。 関連研究として,新しい収益認識基準が債務契約を含む実務に及ぼす影響について学会報告を行った(中村 亮介・小澤 康裕・塚原 慎・吉田 智也(2021)「新収益認識基準が比較可能性に与える影響-アンケート調査結果を用いた実証分析-」グローバル会計学会第4回大会。)。
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Research Products
(8 results)