2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on Non-financial information and the Integrated Reporting
Project/Area Number |
18K01943
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川島 健司 法政大学, 経営学部, 教授 (80406652)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 統合報告 / 会計用語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、 企業情報開示の枠組みである統合報告に着目し、その非財務情報の質的特性とその情報利用者に対する効果を明らかにし、統合報告実務の実態と在り方を学術的観点から検討・評価することである。研究期間の第2年度にあたる本年度も、第1年度から継続して統合報告の制度と実務を幅広く観察すると共に、次年度以降に実施を予定している非財務情報の質を分析・評価する視点や枠組みを検討した。これにあたり、令和元年(2019年)8月には米国会計学会における最新の研究動向を調査し、米国における研究者より日本企業における会計実務の相対的な特性や研究機会について議論を行った。 また、本研究の対象は統合報告実務における非財務情報であるが、そこで用いられる用語の特性について理解を深めるために、本年度では会計用語の起源特定化のための分析枠組みについても検討した。また、その分析枠組みに基づいて、統合報告実務において高い頻度で用いられる用語について、その起源と使用法の変遷に関する歴史的な分析を行った。ただし、当該用語が現在の統合報告実務でどのように用いられているかに関する分析は、次年度以降の課題である。これらの成果は以下の論文、および学会報告においてまとめている。 川島健司「会計用語の起源特定化のための分析枠組み」『経営志林』第56巻, 第2号, 2019年, pp.1-11 川島健司「収益用語論ー「収益」という用語は、いつから、どのように使われてきたか」日本会計研究学会, 第78回大会, 自由論題報告集, 2019年9月3日, 神戸学院大学.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の具体的な課題は、日本企業の非財務情報は何がどのように開示されているか(開示実態の分析)、非財務情報の質はどのように評価できるか(質的特性を評価する枠組みの検討)、日本企業の非財務情報の質はどの程度か(情報内容の評価)、日本企業の非財務情報は投資家に対して有用か(情報内容の有用性の分析)、日本企業の非財務情報の内容と効果は、海外諸国と比較してどのような特徴があるか(開示実務の国際比較分析)を明らかにすることである。 これに対して、平成31年(令和元年)度には日本企業の統合報告の実態を観察し、そこで開示される非財務情報の内容を基礎的データとして記述・整理するとともに、非財務情報の質を分析・評価する視点や枠組みを検討してきた。しかし、基礎的データの収集作業は現在も継続中であり、上述の分析に未だ十分に移行できていない状況である。 また、令和2年2月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、研究時間の配分の変更、および研究を遂行する環境(個人研究室等)に支障が生じている状況であり、本研究課題の進捗にも影響が及んでいる。 一方、本年度においては統合報告で用いられる会計用語の分析枠組みを検討し、実際に当該枠組みを用いて用語の使用法について分析を行った。次年度以降に統合報告実務で会計用語がどのように用いられているかに関する分析を実施する準備を進めることができたと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
第3年度では、第1年度および第2年度からの継続課題として、統合報告における非財務情報の内容を基礎的データとして記述・整理すると共に、日本企業における開示状況の傾向を分析する予定である。その基礎的データと分析枠組みにもとづいて、非財務情報の性質を分析する。その分析の方法として、テキストマイニングの手法を活用する予定であるが、具体的な手法や有効性については次年度に吟味・検討したいと考えている。 令和2年2月以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、研究時間の配分の変更、および研究を遂行する環境(個人研究室等)に支障が生じている状況であるが、研究を遂行する主な場所を自宅に変更するなど可能な限り柔軟に対応したいと考えている。なお、COVID-19は日本企業の統合報告実務にも影響を及ぼし得るものであり、本研究課題に関わる事例は分析の対象に含めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が発生した主な理由は、当年度に予定していた国際学会での研究報告を延期にしたため、その交通費などの費用を繰り延べたことによる。次年度以降の同学会での報告にかかる支出に充当する予定である。
|
Research Products
(2 results)