2023 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Non-financial information and the Integrated Reporting
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18K01943
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
川島 健司 法政大学, 経営学部, 教授 (80406652)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 財務会計 / 統合報告 / 非財務情報 / 会計用語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は統合報告書における非財務情報の有用性であり、その実務の分析に関する研究計画を立てていたが、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、2023年度の前半も引き続き本務校での教務対応に多くの時間を割く必要があり、さらに所属学会の事務支援業務も予期せぬ時間を要することとなった。これらの事情が重なり、当初の研究計画は必ずしも十分に遂行できなかった。 このような状況の中、情報収集と分析の制約を受けずに遂行できる観点を考慮し、研究の焦点を非財務情報の中でもとくに会計・財務に関係する用語の使用法にあてることにし、定性情報の要素としての会計用語の分析を行った。2023年度は特に「内部留保」という用語を取り上げ、その用語が使用される文脈や意味の変容を分析した。その暫定的な成果として、2023年8月27日に日本簿記学会の第39回全国大会で「『内部留保』という用語の使用法に関する研究」という題目で報告を行った。そこでは、内部留保の用語がどのように定義され、使用されてきたか、その文脈と実際の経済的・社会的背景を詳細に分析し、特に誤解が多い「内部留保=現金保有額」という認識について考察した。また、この誤解を解消するために必要な財務報告実務に対するインプリケーションや会計教育に求められる対象すべき課題についても検討した。 研究テーマとしての統合報告書の非財務情報の有用性と会計用語の使用法との間には、定性情報に対する理解の深化という共通の目的が存在する。この観点から、本研究は非財務情報の有用性を高めるための基盤となる洞察を提供することを目指している。以上の事情により、当初の計画に変更が生じたものの、変更後の研究テーマは本来の研究意図と整合性を保ちつつ、新たな知見を提供する機会になり得るものと考え、本研究課題の最終年度の終了後も、引き続き本研究を推進していく所存である。
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Research Products
(2 results)