2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K01946
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小宮山 賢 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (00623117)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 会計不正 / 訂正有価証券報告書 |
Outline of Annual Research Achievements |
上場会社について重要な会計不正を含む事案が発覚する場合としては、その上場企業が倒産後に会社更生手続、民事再生手続や破産手続等の過程において過去の会計不正が明らかになる場合と、過去に公表した財務情報が後日訂正されそれが開示される場合とがある。過去に公表した財務情報が後日訂正・開示は、金融商品取引法が適用される上場会社の場合、 ①財務情報を含む有価証券報告書を訂正する方法と、企業会計基準第24号(2009年)により誤謬の訂正(修正再表示)を行う方法との二つの制度が存在している。実務としては①の方法が優先して適用されている。本年度は会計不正による過年度決算の訂正のデータを具体的に把握するため、上場規程により行われる適時開示における有価証券報告書と決算短信等の訂正データを手がかりとし、最近2年間(2018年・・・2018年1月1日から12月31日まで、及び2019年・・・2019年1月1日から12月31日まで)に適時開示がなされた上場企業の有価証券報告書の財務報告部分の訂正を対象とした。 抽出された訂正有価証券報告書について、業種別傾向の分析と原因別分析を行なった。業種別傾向では、訂正を行った業種に偏りがあることが明らかになり、情報通信、サービスがそれぞれ8社と多く、次いで建設と卸売業のそれぞれ5社、機械、輸送用機器と小売業のそれぞれ4社があった。この2年間では、巨額の会計不正事件は発生しなかった。原因別分析では、訂正の原因が海外の子会社の意図的な誤謬から発生している会社が多く、具体的に影響する財務諸表上の科目も、売上、売上原価、売掛金、棚卸資産という最も主要かつ基本的な項目に集中していた。日本国内の事業に関連した訂正も、ほぼ同様な項目に集中していた。 日本公認会計士協会の公表する不正事例の実例や、国際会計基準審議会や企業会計基準委員会の会議動向について情報収集を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小規模の会計不正事件がすべてであった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス問題の発生により、企業業績や会計処理に大きなバラツキが生じつつあり、これが本研究テーマの会計不正の問題に影響する可能性がある。必要に応じて、研究範囲に取り込むことが予想される。
|
Causes of Carryover |
海外状況調査が1回にとどまったことによる。
|