2021 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on the Situations where Target Costing is Effective
Project/Area Number |
18K01947
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
清水 信匡 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (90216094)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 原価企画 / コストマネジメント / 製品アーキテクチャ / 製品開発マネジメント / 差別化製品 / コモティディ製品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国の製造企業のコスト競争の優位性を支えていた原価企画はどのような状況(企業環境、事業戦略、製品アーキテクチャ等)のもとで有効に機能を発揮するのかという研究課題を理論的に考察し、仮説を導出し、質問票調査、インタビュー調査を通じて明らかにすることを目的とした。2021年度においては、原価企画が有効に機能する市場環境や製品特性について考察した。 多くの研究者が指摘するように、日本企業の家電製品が競争力を失うプロセスにおいてに家電製品のコモディティ化進んだことが知られている。このことから、原価企画は差別化できる製品におけるコストマネジメントとして機能して、コモディティ化した製品では有効ではないのかという仮説を導出した(清水信匡[2017]「日本企業の競争力と開発設計段階のコストマネジメント」(田村晶子編 法政大学比較経済研究所研究シリーズ31 『国際競争力を高める企業の直接投資と貿易』日本評論社2017年 pp.35-55))。そして、コモディティ化した製品において量産効果によるコスト低減策が有効になることも指摘した。それに対して、原価企画が効果を発揮していた差別化製品においてはどのようなコスト低減策が有効かを考察した。差別化製品は高価格で売らないと採算がとれない。製品を顧客のニーズに合わせて機能や品質を加えるのでコスト高になる。それにもかかわらず、安く提供できたのは、原価企画によるコスト低減アイデアの創出とコスト最適化のおかげであった、という仮説を導出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナパンデミックで、企業へのアンケート調査が困難になったので、質問票調査は2022年度に延期した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに導出した原価企画の有効性に関する仮説を実証的に分析するために、本年度は質問票調査あるいは企業への聞き取り調査を行いたい。特に以下の仮説を実証する予定である。(1)原価企画は、顧客から評価される増分機能を提供する差別化した製品に価値を付加するときに効果的だったアプローチである。(2)これとは対照的に、コモディティ化した製品は、競合他社と同じ機能、性能、および品質を生み出す製品に対してより安い価格を提供するというアプローチである。(3)原価企画は、生産サイクルの上流で消費者に付加価値を提供するコスト戦略を中心とするが、コモディティ化した製品は、大量生産と規模の経済を主としたコスト戦略が重要になる。
|
Causes of Carryover |
2021年度に実施予定であった質問票調査と海外学会への参加を2022年度に延期したことが主な理由である。2022年度に実施予定の質問票調査に関連する費用やわが国企業を対象としたフォローアップインタビュー調査さらに海外学会での報告のために差額分を充当する予定である。
|
Research Products
(3 results)