2019 Fiscal Year Research-status Report
Market Responses to Management Earnings Forecast: An Analysis of High-frequency Data on the Limit Order Book
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18K01952
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
加藤 千雄 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (90319567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 東 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00595746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 経営者予想 / マーケットマイクロストラクチャ / Stealth trading仮説 / 流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マーケット・マイクロストラクチャの手法により、我が国の経営者による業績予想制度の意義の考察を目的としている。日・米の既存研究は経営者予想が株価形成に有意に関係しており、投資家の意思決定に利用されていることを示唆している。一方我が国の業績予想は平均的に楽観的(大多数の経営者は前期比増収増益を予想するが、半数以上の企業は予想水準を未達)である。ここから経営者の業績予想は、投資家をミスリードしているのではないか?という疑問が生まれてくる。これが本研究の出発点である。そこで投資家は、経営者の持つバイアスを認識しているか否かを実証的に明らかにすることを課題とした。 経営者の期首予想は決算短信の開示項目として公表され、信公表日の前後では、通常とは異なった投資行動が観測されるものと期待される。そのため、比較対象として「通常の」投資行動の特性の分析が必要になる。 今年度はStealth trading 仮説(以下ST仮説)の検証を行った。この仮説の下、私的情報を持った投資家には自身の取引意図を隠す意図が生まれる。取引意図が他の投資家に察知され、先回りされること懸念するためである。そこで情報を持った投資家、なかでも大口需要家は注文のサイズを小口に分け、少しずつ取引を執行する傾向が強いとされている。その結果、価格形成は情報を持った投資家の小口注文が担っているとの議論がされてきた。 この分析の枠組みを使い、東京証券取引所上場普通株全銘柄を分析した結果、平均的には小さなサイズの注文は日次の株価を先導していることを示しており、ST仮説と整合的であった。 しかし流動性を加味した場合、サイズの小さな注文の価格発見機能は流動性の上昇とともに低下、逆に大きな注文は流動性の高まりとともに上昇、との実証結果を得た。ST仮説に反し、流動性が高い銘柄は、大口注文が価格発見機能を担っているとの、新たな知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年度はおおむね順調に進めてきたが、本年度に入り、コロナ禍対応のため担当講義がオンデマンドで講義資料を提供する形態に切り替わった。そのため講義資料作成に時間を取られ、3月以降今日まで研究時間の確保が難しく、計画の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
物理的な作業時間の確保が難しい状況で、具体的な方策がないのが現状であるが、講義準備にめどがつき次第、研究に復帰しスピードアップ努めたい。
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Causes of Carryover |
ワーキングペーパーの校正を想定していたが、途中で内容の見直しを行ったため、今年度支出に変更したため。
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Research Products
(1 results)