2018 Fiscal Year Research-status Report
本人中心アプローチの認知症ケアのあり方の探索的研究
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18K01958
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
出口 泰靖 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (70320926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会学 / 福祉社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、認知症ケアをめぐる潮流は、認知症当事者本人たちの意思を尊重し、彼らの思いに配慮したケアを行っていこうという「パーソンセンタードケア」として新たな動きをみせている。この本人中心アプローチのケアの考え方は、本人をはじめ家族介護者や介護職にとって、今後どのような影響がもたらされるのか、考えるべき重要な課題である。そこで、本研究では、その「パーソンセンタードケア」のケア実践の上で難しい局面に立たされる状況や事態について検討する。 まず難しい局面の一つ目は、本人自身が「認知症であること」とその「進行」を「受容すること」である。「認知症の受容」をめぐって、本人はじめその家族、介護職が、認知症になってからの生き様についてどのように向かい合っていけばいいか、ケア実践のあり方について、考察していく。 難しい局面に立たされる二つ目は、「本人の意思確認の困難」にある。本人の意思確認の困難期におけるさまざまなケアの状況や問題や課題について明らかにしていく。さらにもう一つ、難しい局面に立たされるのは「看取り期」である。人生最期までの日々の暮らしを本人たちの意に染まない形で過ごさないようなケア実践とはどういうものであるのか、明らかにしていく。 今年度は、本人中心アプローチの困難な局面として「看取り期」における認知症ケアと「意思困難」な時期の認知症ケアについて検討した。特に、ある脚本家の「認知症になったら安楽死を望む」という発言をきっかけに安楽死や尊厳死の議論がおこったことについて、今までのフィールドワークのデータなどから検討、吟味、考察をおこなった。加えて、本人中心アプローチに必要になってくるであろう、身体的なアプローチについても模索するべく、文献収集と検討をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的にそったデータの整理、文献の検討を行っているので、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに、本人中心アプローチの困難な状況について整理をおこなう。
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Causes of Carryover |
関連する文献の購入やフィールドワークのデータの収集のため使用する。
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