2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K01959
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬地山 角 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80250398)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 少子高齢化 / 高齢社会 / 高齢者の就労 / 台湾の高齢者 / 中国の高齢者 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
比較家族史学会の発表者公募に応募し認められて、中国社会科学院で研究発表。中郷社会科学院側の20名ほどの研究者とディスカッションをする機会を得た。中国では高齢者の就労に現在も消極的な考えを持っていることを、討論の中でも確認することができた。 さらに山東大学で講演/ディスカッションを行い、現地の研究者や大学院生と意見交換する機会をもった。高齢者の活動自体が不活発なのではないが、就労には「危険」という意識を持っていることが確認できた。日本では高齢者によって当たり前のように行われている(トイレを含む)ビル清掃が、「滑って転ぶから危ない」というように中国人からは捉えられるというのは、端的な事例として象徴的なものだと考えられる。 全体として中国の都市部における高齢者の労働が、台湾と同じようなパターンであることを確認することができる。中国の場合データがとれないが、台湾の高学歴層の高齢者が層であるように、中国の都市部でも高学歴層はさまざまな社会的活動には参加するものの、就労となると一貫して否定的であった。また「老親の就労が子どものメンツをつぶす」という規範が現代中国にあっても残っていることを確認することができた。中国の研究者と数多く連携がとれたことで、今後の共同での研究にとって確実な前進となった。さらに今回山東大学が出す外国書物の翻訳シリーズの中に、私の本も入れてもらえることとなった。順調に進むかどうかは政治的情勢次第でなんともいえないが、中国語による出版にともなって成果が出ることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年までは中国で複数回講演や研究発表を行うなど、現地での活発な意見交換ができた。中国社会科学院や山東大学など、有力な研究拠点と関係を持つことができ、2018年の台湾大学での講演とならんで、順調に研究を進めることができた。またある程度の資料収集も行った。ところが2020年に入って以降、研究対象の中国/台湾/韓国がいずれも新型コロナウイルス感染症の影響で、研究交流はどころか、出入国までできない状況となってしまった。そのため2020年3月の出張はキャンセルしており、現時点では大きな遅れはないものの、確実に影響が出始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
中国/台湾/韓国などこの研究で直接対象となる国へのアクセスが大きく制限されている。また2020年度内にこれが通常の行き来ができる程度にまで回復するかどうかも、現時点では判断がつかない。いずれにせよ今年度は海外に渡航しての資料収集や現地の研究者交流ができなくなる可能性が高く、その点を心配している。中国/台湾/韓国など現地に赴き、資料調査をするとともに、この研究と関係する社会の、学会や研究者と意見交換し、こちらの仮説を検証していく作業を続けるつもりであるが、その地に行くことすらできないとなると、日本国内での文献調査を行うしかなく、全体の予定に狂いが生じる可能性が高く、心配している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、予定していた韓国などへの出張ができなくなり、計画の通り予算を使うことができなかった。
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Research Products
(4 results)