2018 Fiscal Year Research-status Report
集落活動センターを中心とした雇用創出と若者の地方定着
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18K01964
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
玉里 恵美子 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (40268165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 優 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 講師 (80784420)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 集落活動センター / 小さな拠点 / 構成集落との関係 / 中山間地域対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県では中山間地域対策の切り札として2012年度から「小さな拠点」として「集落活動センター」事業に独自に取り組んできた。これは、「地域住民が主体となって、旧小学校や集会所等を拠点に、地域外の人材等を活用しながら、近隣の集落との連携を図り、生活、福祉、産業、防災などの活動について、それぞれの地域の課題やニーズに応じて総合的に地域ぐるみで取り組む仕組み」である。 集落活動センターが軌道に乗りつつある今日、規模や機能が多様化してきていることもあり、集落活動センター全47か所を対象にアンケート調査を実施した。実施期間は2018年9月1日から21日、有効回答率は36票(47票中)76.6%、質問項目は「運営組織の代表者の属性」、「運営主体の組織構成員」、「集落活動センターの運営状況」、「集落活動センターと構成集落との関係」、「若者の参画状況」、「集落活動センターの将来像」で、データ入力と分析はExcel2016 で行った。 その結果、次の三点が明らかになった。(1)集落活動センターを運営する組織の規模、定例会に参加する住民の質量は、センターによって異なっていた。構成集落の区長や民生委員は多くの集落活動センターに関わっていたが、その他の一般地域住民や団体は関わりが薄かった。(2)「集落支援員」や「地域おこし協力隊」が運営組織に参画する割合が低いことがわかった。定例会などには参加しているものの、運営組織に「正式」に位置付けられていないのではないかと推察された。(3)集落活動センターを構成する集落の代表者はおおむね「意見を述べている」が運営資金を「分担」していなかった。つまり、構成集落の代表者が主体的に集落活動センターの運営にかかわっていないのではないかと示唆された。これらのことから、今後は、多くの住民参加、地域外からの人材の定着、構成集落との関係性の強化が課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度の予定は、(1)集落活動センター調査、(2)訪問ヒアリング、(3)視察、(4)研究公開、であった。 集落活動センター調査については、滞りなく実施することができた。訪問ヒアリングについては、南国市チーム稲生、佐川町とかの集落活動センターあおぞらを訪問し、センターの設立経緯、運営状況、活動状況、今後の課題についてヒアリングをすることができた。しかし、四国内外の先進的な取り組みの視察については、具体的には島根県と愛媛県への訪問を予定していたが達成できなかった。 研究公開については、大崎優・玉里恵美子・片山瞳(2019)「集落活動センターと構成集落の関係性―アンケート調査を通じた一考察―」『Collaboration』Vol.9 pp.47-56 にまとめて公開した。 以上のように、おおむね順調に進展しているが、全集落活動センターへの訪問ヒアリングも課題としており、「やや遅れている」ことを自覚して2019年度の研究に入りたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に変更はない。今後の推進方策として、2019年度は地元雇用に関する学生意識調査を行い、学生向けセミナーを実施する。また、訪問ヒアリングを継続的に行うとともに、四国内外の先進的な取り組みの視察や、これらの研究を通じて明らかになったことを積極的に公開していく。 集落活動センターが若者―高知県内の高卒生・大卒生を想定―を雇用できるように産業振興を図るためには、彼ら/彼女らが今後の集落活動センターの運営に寄与するとともに、学生自身が「田舎で働く」という価値観に目覚め、「田舎で仕事をつくる」ことの具体的イメージの形成を行う必要がある。そのための基礎的研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
四国内外の先進的な取り組みの視察ができなかった。2019年7月までに島根県および愛媛県への視察を行う予定である。 また、今年度は大規模な学生アンケート調査を計画しており、滞りなく研究を遂行し、予算執行できる予定である。 今年度の調査テーマは、「地元雇用に関する学生意識調査」であり、高知大学、高知県立大学、高知工科大学の学生(各大学300名、合計900名)を対象に、「田舎」での就職に関する意識調査を行う。集落活動センターへの認知度、田舎で働くことや高知県内で働くことへの意識をはじめ、地域志向人材としてのキャリア形成を意識した内容にする。
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Research Products
(2 results)