2022 Fiscal Year Research-status Report
Support to enforce the resilience from disaster
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18K01972
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 教授 (20385131)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 支援者 / 中間支援組織 / レジリエンス / 地域再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、科研費補助事業期間を延長していただいた年であり、コロナ下で調査研究の停滞を余儀なくされていた期間を取り戻すべく、可能なところから調査の再開に着手した。とはいえ、補助期間の終了は近いため、これまでの調査研究の成果をまとめる作業も同時並行で行っていくことも念頭に置きながら取り組んできたものである。 本年度の成果として特筆すべきは、研究対象である自然災害・社会的災害の中で、大気汚染地域における取り組みである。それは、公害裁判の和解で先行した大阪・西淀川において、解決金をもとに創設された「あおぞら財団」が主体となり、高齢の公害病認定患者の療養生活を支援する目的の生活実態調査に取り組んだことに始まる。そこに同じく公害裁判を経験した岡山県倉敷市の「みずしま財団」も加わり、認定患者にとどまらない環境保健事業として地域まるごと健康づくりの取り組みとして発展していったことが注目される。 筆者は、この取り組みについて年度当初から現地での調査を行い、元々は公害健康被害補償法の認定患者の高齢化という限られた対象者への対処から検討が始まったものが、結果的により広範な一致点によって幅広い地域連携と地域医療全体のレベルアップにつながる取り組みへと展開していった展開を論文と著書(共著)にまとめた。とくに公害問題をめぐる従来の構図に新たな担い手(支援者)が加わり、医療機関・行政・草の根組織の地域連携を構築することができた中間支援組織の意義について論じている。本研究成果は2023年度の学会発表も予定している。 その他の研究対象についても、従来の調査結果をベースに研究成果をまとめる作業を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最も大きな理由はやはりコロナ下でなかなか現地調査が実施できず、現地の方々からの直接のヒアリングなどができなかった期間が長く続いたことにある。もっともその間も、手に入れられる文献については積極的に収集し、可能な限りの研究のフォローアップは続けてきたつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、地方などへの訪問が長く閉ざされていた関係で遅れが生じた部分について、可能な限り補完していく必要があるため、次年度、補助期間の再延長を申請させていただいた。認めていただけたため、次年度においては研究成果をまとめていく作業と並行して、必要な調査などを積極的に実施していく予定である。 なお、すでに次年度の早い段階で、学会発表と論文執筆のエントリーはすでに行っているため、これらをひとつの目途にしながら、次年度中の研究の完了と、成果の発表を全力で進めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2022年度は「緊急事態宣言」はなかったとはいえ、夏の「第7波」、冬の「第8波」のように、地方調査を行うことが全面的に再開できる状況ではなかったため、調査研究により予算を十分に使用することが叶わなかった。そのため、次年度再延長を申請させていただき、次年度のところで全面的に調査を再開させて研究期間を満了させる予定である。
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