2023 Fiscal Year Annual Research Report
Support to enforce the resilience from disaster
Project/Area Number |
18K01972
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 教授 (20385131)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 災害復興 / 支援・支援者 / 地域連携 / 社会的レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度となった2023年度は、研究成果の公表に向けた執筆や学会等での発表を中心的な活動として位置づけつつ、それに付随する範囲で若干であるが補助的な調査を行ってきた。 まず昨年度からの連続性として、昨年度末に学会誌で公表した論文「環境保健活動の新たな展開にみる地域連携の可能性」の内容を敷衍して、補足調査をふまえて学会発表(日本環境学会2023年大会)も行っている。これらは多くの犠牲をもたらした悲惨な社会的災害の経験を風化させず、その教訓をいかに地域社会に埋め込むか(災害の教訓をいかに社会実装していくか)という観点からその可能性を論じたものである。ここでとくに強調したのは、災害の被害者といういわばマイノリティの健康回復・QOL向上の追求が、より広範な一致点をふまえた再定義によって、結果的に幅広い地域連携と地域医療全体のレベルアップにつながる地域連携の取り組みへと進展したことである。筆者は岡山県倉敷市における取り組みから、このような地域連携のモデルの意義を論じている。 これらの研究から筆者がさらに指摘したことは、医療機関・行政・草の根組織等の地域連携をコーディネートしながら、円滑につなぐことができる中間支援(組織)の意義である。中間支援組織が対話的関係性を積み上げ、協働の取り組みを推進することは地域の社会的レジリエンスの強化に貢献するということができる。 以上のように、災害によって社会的・経済的諸関係に大きなダメージが生じ、地域内の分断が起こるような中で、地域の再生にとって広範なステークホルダーとの協働や社会資源を連結していく中間支援の役割についてさらに議論が深められる必要がある。
|