2018 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Sociology of Retreat and Permeation of American Multiculturalism
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18K01982
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多文化主義 / 人種 / 人種主義 / エスニシティ / アメリカ合衆国 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、研究計画に従い、1990年代以降のアメリカ型多文化主義についての基本的な課題設定を確認すると同時に、反多文化主義的な政治文化の形成についての実証調査を進めた。まず、1990年代におけるアメリカ型多文化主義の中心課題の一つである多文化教育の展開については、1980年代末から90年代にかけてのニューヨーク州教育改革をめぐる論争を取り上げた。また、これに関与した知識人の言説を検討することで、2016年大統領選挙でのトランプ現象に結びつく反多文化主義の生成を分析した。以上の成果は、『アメリカ研究』での査読論文、および日本アメリカ史学会大会での招待講演として発表された。一方で、もう一つの主要課題であるアファーマティヴ・アクション(AA)をめぐる論争については、1996年にカリフォルニア州でAA禁止の制度化を求めた提案209をめぐる対立について、米国で現地調査・資料収集を行った。また、アメリカ型多文化主義についての基本概念として、中立性規範と多様性規範の二つを設定し、両者の関係性から公民権期以降の人種エスニック関係の変遷を分析する論考を一般向け雑誌『世界』に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの調査の実施と成果発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度に引き続き、1990年代のアメリカ型多文化主義の展開についてカリフォルニア州提案209についての調査を進めるとともに、同時期の多人種主義(multiracialism)の登場、「多様性規範」の主流化の契機となった2003年のグラッター判決/グラッツ判決をめぐる議論について、それぞれアメリカ合衆国内での調査を進める。また、20世紀後半以降のアメリカ型多文化主義の形成と展開について議論する著書の執筆を進める。
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