2019 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Sociology of Retreat and Permeation of American Multiculturalism
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18K01982
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多文化主義 / アメリカ / 人種 / 人種主義 / 多様性 / 多人種主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、立命館大学学外研究制度を活用して、カナダのトロント大学に客員教授として滞在し、研究を行った。滞在中は、アメリカ合衆国のワシントンDC、サンタバーバラ、サンフランシスコを訪問し、それぞれ資料収集と現地調査を行った。調査では、2019年度に続き、1990年代におけるカリフォルニア州における反多文化主義運動の展開を、1996年のカリフォルニア公民権イニシアティヴ(提案209号)をめぐる住民運動に注目して資料収集した。また、複数の人種背景を持つ人々による多人種主義の運動が、いかにアメリカ型多文化主義のあり方を変えたかについても、人種カテゴリーの公式定義の変更という側面に注目して調査を行った。成果報告としては、日本への一時帰国時に日本アメリカ学会第53回大会に参加し、「アメリカ社会と人種」分科会において、本科研費による研究の全体像をテーマとした「未完のプロジェクト:アメリカ型多文化主義とは何(だったの)か?」と題した報告を行った。その後、海外調査の傍らで本科研の成果発表となる単著書『未完の多文化主義:アメリカにおける人種、国家、多様性』の原稿執筆を中心に作業を進めた。同単著書では、本科研、およびその前段階にあたる科研費基盤研究C「アメリカ型多文化主義の成立と展開をめぐる歴史社会学的研究」(2014年~2018年度)での研究成果を中心に、1960年代から2016年のトランプ現象にいたるまで、アメリカ型多文化主義の変容過程を議論した。同単著書は、科研費による研究成果公開促進費(研究図書)の助成を受けて、2020年度中に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
立命館大学の学外研究員制度を活用したことで、本科研費の研究エフォートに多くの時間を割くことができたため、2021年度に発表を予定していた単著書『未完の多文化主義』の原稿執筆を2019年度中に終え、2020年度中に発表できる見込みとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度については、本科研の研究成果として、単著書『未完の多文化主義:アメリカにおける人種・国家・多様性』の出版を第一の目的とする。また、著書の発表と同時並行して、同書の内容の一部に、2019年度におこなった調査の最新成果を反映させた学会報告を、日本社会学会およびアメリカ社会学会(American Sociological Association)の大会で行う予定である(ただし、新型コロナウィルスによる学会延期・中止の可能性あり)。また、21年度に英語での研究成果発信を行うため、単著の一部をもとにした論文化の準備を進める。
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Causes of Carryover |
当初、複数回の海外調査のための予算を計上していたが、立命館大学学外研究制度によって2019年度は1年間カナダのトロント市に滞在できたため、海外旅費を大幅に節約できた。2020年度における海外調査および成果発表の旅費として使用する予定。
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