2021 Fiscal Year Research-status Report
The Historical Sociology of Retreat and Permeation of American Multiculturalism
Project/Area Number |
18K01982
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
南川 文里 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (60398427)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 多文化主義 / 人種 / エスニシティ / アメリカ合衆国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度も新型コロナウイルス感染対策による渡航制限などによって、海外調査を行うことができなかったため、2019年度までに収集した資料の分析、日本国内での文献研究、電子資料にもとづく研究を中心に進めた。まず、本科研での理論的な達成を反映させ、著書『アメリカ多文化社会論[新版]:「多からなる一」の系譜と現在』を執筆し、入稿した(2022年4月に法律文化社から刊行予定である)。同書は、2016年に刊行した初版の完全改訂版であるが、本研究課題の成果を反映させ、多文化主義の形成とその変容、そして21世紀における多文化主義の展開を加筆した。また、21世紀における多文化主義の動向に対する実証的な考察として、2010年代に大学入試におけるアファーマティヴ・アクションを「アジア系に対する差別」と訴えた裁判の動向を、この裁判を推進する団体とこれを支援するアジア系団体の動向に注目して論じた。この裁判をテーマとしたものとして、日本社会学会大会報告では、アジア系アメリカ人のなかの「反多文化主義」運動とその背景について論じた。また、立教大学アメリカ研究所シンポジウムでは、2020年以降の「アジアン・ヘイト」問題との関連を報告し、法政大学大原社会問題研究所『大原社会問題研究所雑誌』では、裁判の経緯がアジア系をめぐる人種関係をどのように規程してきたかを論文として発表した。また、同テーマは『立教アメリカン・スタディーズ』や共著書でも発表予定の論考でも取り上げている。また、本研究課題の成果をふまえた一般向けの講演会なども複数行い、研究成果の一般への発信にもつとめた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外調査を行うことはできなかったが、論文1点、学会報告・学術会議が3件、一般向け講演が2件と研究成果を順調に発表することができた。また、2022年4月には単著(改訂版)を刊行予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度となるが、20年度・21年度に実施できなかったアメリカ合衆国での海外調査を行う。そして、その成果を踏まえた英語論文の執筆を進め、研究成果の国際的な発信につとめる。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染対策による渡航制限のため、海外調査が実施できなかった。また、日本国内でも学会・研究会などがオンライン開催となったため国内旅費も未使用であった。2022年度は海外調査のほうか、対面開催の学会参加のための旅費を中心に使用予定。
|