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2022 Fiscal Year Research-status Report

外国人技能実習制度の課題と可能性―環境保全型農漁業の技能移転を焦点とする実証研究

Research Project

Project/Area Number 18K01985
Research InstitutionNotre Dame Seishin University

Principal Investigator

二階堂 裕子  ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (30382005)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 駄田井 久  岡山大学, グローバル人材育成院, 准教授 (60346450)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2024-03-31
Keywords外国人技能実習制度 / 環境保全型農漁業 / ベトナム / 技能移転 / 国際労働力移動 / 外国人労働者受け入れ政策
Outline of Annual Research Achievements

まず、技能実習生の就労先企業については、岡山県内の6社と愛媛県内の1社の計7社を訪問し、特にコロナ禍の受け入れ状況と課題に関するインタビュー調査を行った。いずれも人口減少が著しい地域に立地する企業である。そうした過疎地域の企業は、技能実習生の呼び入れ以外に人材確保の手段が皆無に等しい。しかし、立地条件の悪さに加えて、給与額が大都市圏より低いので、技能実習生の獲得では不利な立場にある。よって、いかに技能実習生に「選んでもらえるか」が死活問題となっている状況が浮かび上がった。
また、技能実習生の受け入れ機関(監理団体)については、広島県内の1社と高知県内の1社に対するインタビューを行った。特に印象的であったのは、インドネシアから技能実習生を受け入れている高知県内の漁業組合である。当該漁協では、インドネシアの水産高校と連携し、技能実習生が来日前に借金を一切負うことなく就労できるしくみを構築していた。技能実習生の高額な借金は、技能実習制度をめぐる課題の一つであるので、こうした実践は極めて示唆に富んでいる。
さらに、岐阜県内に拠点を置く技能実習生の一時保護施設においてインタビューを行った。この施設では、心身への暴力や残業代未払いなどの不当行為を受けた技能実習生を保護し、雇用主や受け入れ機関と是正や解決に向けた話し合いを実施している。技能実習生に対する人権侵害の現状と課題のほか、こうした支援団体が果たす役割について学ぶことができた。
加えて、ベトナムにおける環境保全型農漁業の現状、さらに技能実習生による技能移転をめぐる課題の解明を目的として、ベトナムでの調査を実施した。当該国では、有機野菜の需要が少しずつ高まっており、地方都市でも有機野菜を扱う店舗が増えていること、こうした動向を背景に、元技能実習生が日本で修得した技能を活用し、有機農法を実践していることなどが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和4年度は、新型コロナウイルスの感染状況を睨みつつ、国内およびベトナムにおいて、前年度よりも多くのインタビュー調査を実施することが可能となった。それによって、技能実習生の受け入れや就労をめぐる状況について、より豊かな情報を収集することができた。
ただし、調査対象者の都合や悪天候によって、何度か調査の取り止めや延期をせざるを得ない場合があり、予定していた調査のうちのいくつかを実施することができなかった。

Strategy for Future Research Activity

令和5年度は、減化学肥料・化学農薬による栽培や、有機農業など、持続性の高い農業生産に取り組んでおり、なおかつ技能実習生の受け入れを行っている事例について、引き続き調査を行う。現在のところ、香川県や愛媛県の農業者を対象とした調査を予定している。そうした農業者のもとで、技能実習生がどのように就労し、どのような知識や技能を修得しているのかについて情報を収集する。そのうえで、技能実習生が母国で求められている知識や技能を日本で修得するために、いかなる課題があるのかを検討する。
また、地方自治体における技能実習生受け入れ政策の現状を探るため、岡山県美作市と総社市を対象とした調査を進める。美作市では、2015年よりベトナム人技能実習生の受け入れに取り組み、企業や受け入れ機関、および市民との協働で、受け入れ体制の整備を精力的に図ってきた。また、近年、総社市でも同様の外国人受け入れ政策が推進されている。今後は、特に総社市を対象とした調査に注力し、美作市との比較も試みる予定である。
さらに、上記の調査によって収集された情報をもとに、より積極的な研究成果の公表に努めたい。

Causes of Carryover

前年度よりも多くの調査を実施することができたものの、前述のような理由により、いくつかの調査が取りやめ、もしくは延期となった。そのため、旅費が当初の見込みよりも低く抑えられる結果となった。よって、国内における補充調査のための旅費として、次年度使用額を使用したい。

  • Research Products

    (7 results)

All 2023 2022

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results)

  • [Journal Article] 地方圏における産業の持続可能性の確保に向けた外国人技能実習生の受け入れ2023

    • Author(s)
      二階堂裕子
    • Journal Title

      都市問題

      Volume: 114-2 Pages: 28-35

  • [Journal Article] 日本におけるCSA (Community Supported Agriculture)に対する消費者評価と普及方策の検討2023

    • Author(s)
      駄田井 久、東口 阿希子、前田 拓馬、横溝 功
    • Journal Title

      農業経営研究

      Volume: 60 Pages: 53-58

    • DOI

      10.11300/fmsj.60.4_53

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 外国人とともに創る自立的な農山村コミュニティの可能性―持続可能な人口減少社会をめざして―2022

    • Author(s)
      二階堂裕子
    • Journal Title

      農業と経済

      Volume: 88-3 Pages: 45-54

  • [Presentation] 農業を活用した地域活性化の可能性 -交流人口の増加に向けて-2023

    • Author(s)
      駄田井久
    • Organizer
      瀬戸内研究シンポジウム
  • [Presentation] 国際移動の制限下における外国人技能実習生の受け入れ社会―コロナショックから考える外国人労働者受け入れのあり方―2022

    • Author(s)
      二階堂裕子
    • Organizer
      地域社会学会
  • [Presentation] 持続可能な農村コミュニティの実現に向けた外国人技能実習生との連帯の可能性―「百姓」らしい受け入れを模索する地域協同組合Xを事例に―2022

    • Author(s)
      二階堂裕子
    • Organizer
      日本労働社会学会
  • [Presentation] ベトナムにおける食品加工企業の原材料調達の現状と課題2022

    • Author(s)
      駄田井久
    • Organizer
      日本社会学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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