2020 Fiscal Year Research-status Report
「普通の生活」を取り戻すための高齢者支援―東日本大震災・熊本地震の比較社会学
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18K01986
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
本多 康生 福岡大学, 人文学部, 准教授 (50586443)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年4月に発災した熊本地震では、約4年が経過した2020年3月末に、漸く熊本県内の災害公営住宅の整備が完了したが、個別の住宅再建の遅れによって、現在も300人以上が応急仮設住宅等で生活を続けており、避難生活の長期化や、集約された仮設住宅におけるコミュニティの維持が大きな課題となっている。 今年度は、被災地において様々な困難を抱えた高齢者を行政・専門機関へつなぎ、見守り・相談等の支援を継続的に担っている生活支援相談員による実践の理論化を進めた。 次に、災害ソーシャルワークに関する欧米の文献を渉猟し、整理した。近年、防災プロセスにおけるソーシャルワーカーの役割が重視されるようになっている。ソーシャルワーカーの知識や技能は、緊急時だけでなく復興段階においても極めて重要であるが、災害ソーシャルワークの役割は、社会的にまだ十分に認知されておらず、地方自治体レベルで推進していくことが必要とされている。日本においては、行政、社会福祉協議会、地域包括支援センターなど狭義のソーシャルワーカーだけでなく、生活支援相談員、NPO・ボランティア、民生委員など多様な担い手がかかわっているが、欧米においても、専門職ソーシャルワーカーだけでなく、ボランティアやパラプロフェッショナルが、現実の災害サービス提供を行ってきたことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍で現地調査ができず、研究成果の分析に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、収集したヒアリングデータを精査し、論文化を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地調査が行えず、令和2年度成果を論文化する作業に時間が掛かっており、研究期間延長が必要である。次年度は、オンラインツール等も活用しながら、東日本大震災や熊本地震の被災地において追加調査を進めていく予定である。
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